• 用語解説

ICT

インフォメーションコミュニケーションテクノロジー(Information and Communication Technology)の略で、一般的には「情報通信技術」と訳されていますが、情報活用による交流全般を指すと解釈すべきで、私は、「情報交流技術」と訳した方が良いと思っています。農林水産業においてもICTの活用が進みつつあります。

IoT

アイ・オー・ティーと読みます。Internet of Thingsの略となりますが、そのまま訳すと「物のインターネット」ということになり、ちょっと分かりにくい。どういうことかというと、インターネット経由でセンサーと通信機能を持ったモノということで、これでもわかりにくいでしょ。例えば、スマートスピーカーというのを知ってますか。テレビの宣伝で「オッケーグーグル、電気消して」と机に置いた丸いスピーカーに話しかけると、家の電気がパッと消えるというのがありますよね。あれは、人の声を音声センサーで捉えて、インターネット上にあるAIに送り、とりあえず求めているだろう回答を選択して、回答結果をまたインターネットで送り返してくるのです。まぁ、ああ言うものだと思ってください。農業場面でのIoTでは、トラクター(モノ)に、例えば土壌成分センサーなんかをつけておくと、トラクターが農地を走るだけで、必要な個所に必要な肥料を撒くなんてこともできるようになる訳です。えっ、自分でやったほうが早いってか。

AI

人工知能というとSF小説や漫画・映画の世界のもののように思いますが、レベルの高い低いの差はあれど、それなりに人工知能と呼べるようなものはすでに、社会の多くで活用されています。エアコンが人を感知して、局所的に温めたり、動作をやめたりするのも、機能は限定されますが、知能があるかのように感じますし、コンピュータゲームの将棋や囲碁で、人工知能にまでは至っていなくて、定石と呼ばれるデータやこれまでの対戦データから、勝利確率が高い手を選択するだけでも、そこに知能があり、人が指しているかのように感じられることはあります。

人工知能とは、一般的には、言語の理解、問題解決などの知的行動を人に代わってコンピューターに行わせる技術とされていますが、1950年代にはじめてAIという言葉が使われた頃の人工知能と、2000年代後半以降に人工知能とされているものとは、かなり中身が違っています。特に、近年は、大量のデータから規則性を学習し、例えば人の顔を特定するような特定課題を推定する機械学習なるものが主流となっています。人間の神経回路を模したニューラルネットワークで深い階層のモデルを構築し、精度の高い推論を行うディープラーニング、日本語では深層学習と言いますが、その研究に大きな進展があり、現在は、これに基づく研究や開発が盛んになっています。

あの2015年に人間のプロ囲碁棋士に勝利した「AlphaGo」という囲碁AIは、このディープラーニングと呼ばれる手法をフルに使っているそうです。

農業の技術での応用を考えるなら、例えば、作物が育つ圃場の上にドローンを飛ばして、画像を撮影するだけで、病害虫被害をいち早く見つけ、スポット的に農薬を散布したりることができるようになります。

農業用支援ロボットに搭載すれば、土壌・水管理条件や微気象条件を考慮し、最適土地利用計画を描き、選択的な播種、生育管理から収穫までを一貫して行うこともできるようになるでしょう。

SNS

 SNSはSocial Networking Service(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の略です。ソーシャルは「社会的な」の意味で、ネットワーキングは「繋がり」を示し、それのサービスを提供するということなるので、全体の意味としては、社会的な繋がりのサービスということになります。

 やったことは無いが、訊いたことがあり、新聞でもよく見かけるというものとしては、twitter(ツイッター)とかFacebook(フェイスブック)とかinstagram(インスタグラム)などがあるでしょう。トランプ大統領が、ちょこちょこっと変なことをつぶやいているのがツイッターです。また、芸能人が豪華で変わった料理の写真やロケ先で奇妙なものを見つけた時に、こんなのがあったぞと写真をインターネット上にアップするのがインスタグラムです。「インスタ映え」などと言った流行語もできましたが、写真として映えるかどうかが、社会の賛同を得られるかどうかに関わって来るので、競い合っているようです。人間には、他から認められたいという承認欲求や集団に属したいという社会的欲求というものがあって、どうやらSNSはその実現に大きな役割を果たすようです。

 どうやっているのかというと、実に簡単で、登録すればすぐに誰でもがはじめられます。付き合いの深さがどの程度になるかはよく分かりませんが、インターネットを介して人間関係を構築できることは確かで、将来的に、情報の発進・共有・拡散のためにこれらを利用することはますます増えて来ると思われます。

Cloud

 最近は少しクラウド自体が当たり前になってきて、「クラウド」熱も冷めてきたように思いますが、一時は、なんでもサービスを見ると、「クラウドになってますから」と説明されて。またあの雲のマークの奴かとうんざりしました。でも今になってみても、このクラウドの実態はよくわからないので、雲の中にあるように感じます。ある情報の専門家にそれを言うと、「雲の中にあるようなので正解」と言われました。

 実際に、クラウドの定義はとても曖昧で、私がここで説明するのはなかなか難しいのですが、本ホームページのユーザーはみんな素人だと思って、ものすごく端折って、私がわかるところだけを強調して説明させてもらいます。少し嘘かも知れませんが勘弁してください。

 クラウドとは、「ユーザーがサーバーやネットワークなどのインフラや受けたいサービスのアプリケーションをソフトウェアとして買って、保持していなくても、インターネットを通じて、サービスを必要な時に必要な分だけ利用する考え方」のことを言います。

 もう少し分かりやすくしましょう。昔は、パソコン買って、サーバーも用意して、ネットワークも自分で構築して、ソフトウェアのライセンスを買って、パソコンにこれまた自分でインストールして、はじめてサービスを享受できましたよね。しかし、クラウドでは、ハードウェアを購入したり、ソフトウェアをインストールしなくてもサービスが受けられるようになります。これがクラウドという仕組みであり、それによって受けられるサービスがクラウドサービスです。

 訳のわからないインターネットという雲のようなもやもやとした向こう側からサービスを利用していることから、クラウド(cloud=雲)と呼ばれるようになったらしいです。

 例えば、現在の「楽ちん多面」はソフトウェアを買ってインストールしてもらいますので、クラウドではありませんが、これがクラウドに進化すると、もう、「楽ちん多面」というソフトウェアは買う必要がなく、インターネットからクラウドサービスのアカウントを取得して、ブラウザ上でサービスを受けることができるようになります。いずれそうなるかもしれません。

ドローン

 今やドローンを知らない方はいらっしゃらないと思います。用語集に載せるまでもないかと重しましたが、少し基本的なことだけまとめておきましょう。

 先ず、ドローンとは何ぞやと言うことになりますが、一般的には、無線により電波を利用して遠隔操作なしでも自立飛行できる機器のことで、あらたまって定義すると「無人で空を飛ぶ機体」となります。実は、この定義をそのまま逆に英訳しますと、unmanned aerial vehicle=UAVと訳せるので、ドローンとUAVは同じもののように思われますが、正確に言うと違っていて、ドローンはあくまでも通称であって、航空法の定めで、200g以上の機体をもつドローンをUAV「無人航空機」と命名しているそうです。

 ドローンは決して新しいものではありません。軍事用の無人兵器(戦闘機)としては、50年以上前から使われていますが、それが、研究開発によって、低価格で実用性の高いものに変化していった訳です。農業分野では、農薬散布などの用途で使われるようになり、ヤマハが発売する農薬散布無人ヘリコプターも立派なドローンということになります。

 最近は、家電量販店へ行くと、空中撮影やホビー用のドローンのコーナーが設けられていて、小さいものでは掌に乗るサイズから、大きいものでは両手で抱える大きさのものも展示されています。それ以上大きい機体も、もちろんありますが、そうなってくると、それは家電というよりは、業務機器ということになって、それぞれの目的用途別に販売されることになります。

 最近の小型ドローンはラジコンヘリコプターに比べ、非常にきれいな空中映像を撮影できることから、テレビやCM、映画などでも日常的に使われるようになってきました。しかも、無線によるコントロールだけではなく、最初から航行ルートをプログラムしておき、所定の位置を所定の時間で観測することもできるようになりました。

 今後、農業用でも、今後ますます利用範囲は広がるものと思われます。

ローカル5G

 ローカル5Gとは、企業や自治体が個別に利用できる小規模な「5G」通信環境のことを言います。プライベートネットワークなどとして利用可能であることから、「自営の5G」とも言われています。

 ローカル5Gを説明する前に、5Gの説明が必要なのですが、こちらは、第5世代移動通信システムとことで、4Gに続くIMT-2020を満足する規定で、高速大容量 、高信頼低遅延、多数同時接続が可能となる通信システムのことを言います。特に、ソフトバンクやdocomo等の民間キャリアが提供するサービスを指しており、インターネットでもいたるところで詳しい説明がされていますので、それを参照いただくか、暇なら、ドコモやソフトバンクショップへ行って店の人がどこまで詳しいか試しつつも、聞いてもらうことにして、ここでは、「ローカル5G」についてのみ説明をします。

 5Gは、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルのキャリア4社に、周波数帯が割り当てられていますが、総務省はこれに加えて、4.5GHz帯の200MHz幅(4.6~4.8GHz)と28GHz帯の900MHz幅(28.2~29.1GHz)をローカル5Gとして割り当てることとしています。

 キャリアが提供する5Gだけで十分なのではと思われるのですが、日本全域もれなくこれを整備するには時間も金も相当かかります。どんなキャリア会社でも、最初はよくあるでしょ。最初は使える領域が小さいのですが、顧客が増えてくると、領域も広がるというものです。利用者数の多い領域を中心に整備は進められるでしょうが、総務省としては、全域に広がるのをただ待つのではなく、ローカル5Gを、地域の企業や自治体、産業におけるローカルな需要、地域の課題解決に応えるための通信環境として位置づけ、キャリア3社以外の様々な通信サービスのビジネスモデルの創出も目論んでいるのです。ローカル5Gはキャリアの提供エリアと関係なく、5Gの機能を各地域で企業や自治体が利用できる機会として提供されているので、セキュリティレベルも自由に設定して、独創的なサービスを考えることができます。

 ローカル5Gを利用すれば、自社の敷地内に自前の5Gネットワークを張り巡らせられます。えっ、それなら最大速度を持つ第6世代のWi-Fi規格「Wi-Fi6」がバリ便利じゃないのと言いたいところですが、セキュリティ強度の高さと通信の安定性、通信遅延の低さ、電波到達距離の長さでは、ローカル5Gが上です。問題は、Wi-Fiと比べてローカル5Gは、導入コストが非常に高額だということになります。Wi-Fi環境であれば数万~十数万円程度で環境を整えられますが、ローカル5Gによる通信環境の構築には通常数千万円、ゼロから構築する場合は数億円の費用が必要になります。

 コストの問題はあるものの、ローカル5Gならでは用途はあるので、期待がかかっています。

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