農業・農村に本当にICTは必要なのか

 皆さんは、U.S.A.という歌をご存知ですか。DA・PUMP(ダ・バンプ)という日本のグループが「♪カ~モンベイビ~アメリカ・・♪」と軽快にステップするパフォーマンスが受けて、昨年はNHKの紅白歌合戦にも出場したので、「あぁ、あれか」と印象に残っている人も大勢いるのではないかと思います。

 私は、元々少し耳が遠い上、歳も影響し始めているのか、基本的に若い人の歌は歌詞がまったく聞き取れません。このU.S.A.という歌も、雰囲気だけを味わうことしかできなかったのですが、ところどころで聞き取れる歌詞が気になったもので、ネットで調べてみると、なかなか興味深いものがありました。

(引用:歌手DA PUMP 作詞CIRELLI DONATELLA 作曲ACCATINO CLAUDIO)

と、アメリカから入ってくる音楽や映画やファッションなどのすべての文化に魅了され、その夢を追いかけたことを歌いつつも、以下のように、錆びの部分では、日本の音楽シーンも負けてはいないと歌っているとようです。

(引用:歌手DA PUMP 作詞CIRELLI DONATELLA 作曲ACCATINO CLAUDIO)

 何度も聴いている内に、なんとなく、U.S.A.とI.C.T.という文字は置き換えられて替え歌が作れるように思えてきた。

   農業や農村でICTを活用することは、日本という国にアメリカから様々な文化が入って来るみたいに衝撃的だと歌えるように思います。 ICTを活用した農業の工業化や農村の都市化の波は、今、無条件に押し寄せています。すでに無人トラクターに無人水管理などと現場活用が進んでおり、今後は、精度の上がった位置情報システムと人工知能(AI)による最適栽培管理が組み込まれて、気温、水温、地温から土壌成分、雑草防除、病害虫防除までをコンピュータやロボットがすべてやってくれる時代が創られようとしています。

   農業という植物生産に工業化が必要なのか、自然と人が協力して命を紡ぐ文化的事象とも言える営みをそこまで工業化して良いものか、そもそも、小さな農地が中心の日本で工業化がどこまで必要なのかという問題があるとは思いますが、そのことはまた別の機会に触れるとして、ここでは、この時代の流れの中で、ICTの導入をする必要性があるか否かについて考えてみます。

 結論から言うと、U.S.A.の歌詞の通り、取り入れたくなくても取り入れてしまい、影響されることには逆らえないだろう。但しここからが大事で、やはりU.S.A.の歌詞の通り、そのままの導入にはならないということです。

 USAの歌詞は言葉選びがなかなか巧みで、単純にアメリカの文化を認めているようには思えない。手本にはするが、「カーモンベイビーアメリカ:一緒に行こうぜアメリカ」であって、ジパングは最終的には競合するのである。

 農業、農村でのICTの導入に置き換えると、

「ICTを見本にはするが、その社会政策にどっぷり填まったりするものか」

「農業・農村にとって良い面だけをうまくとらえて行こうじゃないか」

「ICTよ、俺たちの産業について来てみたら」 と歌って良いのである。

   ICTを導入すれば便利になるかというと、実はそうでもない。いろいろとICTならではのルールがあるので、それを憶えるのがたいへんですし、導入したら導入したで、うまく動かなかったり、昨日まで動いていたのに、急に動かなくなったとか、導入して逆に忙しくなるとこもあります。 もし、そんなことさえも意識しないで使えるICTのシステムがあったとしても、気を付けないといけません。本来、人が考えて使うべきところまでをも排除してしまうかも知れません。さらに、ICTを導入する必要がなく、これまでのやり方で十分なのに、無理にICTを導入して、旧来の良いシステムが崩れて、困ってしまうという場合もあるかも知れません。

  どんな場合にICTが有効で、どんな場合は導入しなくても良いのか、自分たちの地域の農業にICTは必要なのか、今まで使ったことのない皆さんが一人で考えていても悩むばかりかも知れません。

   そんな時は、是非、農村づくり・ICT支援研究会にご相談ください。 農業・農村へのICTの導入にかかる相談に対応いたします。但し、市販品や一般的なソフトの説明をすると言うことではありません。あくまでも、農作業上困っていることがあっって、ICTを導入すれば解決できないだろうかと思った時に、それを実現してくれる製品はあるだろうかとか、導入することが得策だろうかということについての助言をさせてもらいます。

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