31年度予算成立で考える

 一般会計総額が101兆4571億円で過去最大となる平成31年度予算案は2日未明に衆院本会議で自民、公明両党などの賛成多数で可決し、衆院を通過する見込みとなった。このまま行くと、予算の今年度内の成立が確定する。

 そのうち、農林水産省の予算は、2兆3千億円。今年の目玉はいくつかあるが、何と言っても、次の3つは大きく目を引く。1.抜本的な水産改革としてのIQ(漁獲量の個別割当)など先進的な資源管理の導入、2.農業の競争力強化を図るための農地の大区画化や担い手への集積・集約化と最先端の「スマート農業」の技術開発・実証の支援、3.農業変革に向けた水田活用の直接支払交付金の措置である。

 特に、農業に関係する部分では、スマート農業の技術開発と実証に30億ほど付いている上、30年度の二次補正で最先端の技術開発に62憶が措置されているのが気になる。

 少子化、高齢化、中山間地域での集落の存続の危機を脱するためには、需要に応じた生産・高収益作物への転換、担い手育成、技術革新による生産コストの低減などが不可欠で、それを具体化するための一筋の希望は、「スマート農業」であるという訳だ。

 ICT化については、これまでも「言わせてもらえば」のコーナーで、何度も触れてきて、私自身もその必要性について言及して来たが、大切なのは、ICT導入によるスマート農業そのものではない、その意味を理解し、うまく農業・地域経営に持ち込めるか否かである。技術があれば打破できるなんてことではないのだ。

 技術を理解した時、はじめてその先に方策が見えてくるものだのだ。ここを間違ってはならないだろう。

 政府は、急ピッチで農業のスマート化を進めてくるだろう。現場で安くて使えるものを開発してほしいので、技術実証はしっかりとやってもらいたいし、低コスト化は図ってもらいたいが、それを良い例として横展開する方策は取らない方が良いし、経営者や地域はそれに乗らされては成らない。

 収益性、ライフスタイル、効率性の総合的な判断のもとで、自分の農業経営の規模や発展スピードを勘案しての導入こそが、政策をうまく受け止める方法となるのではないのか。特に、ライフスタイル、ここで言うのはICT社会での生き方、働き方のようなことを指しているつもりだが、この辺りについては、また今度お話することにしたい。

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