「楽ちん多面」改良裏話

 他のお話を用意していたのですが、急遽変えました。「それはまた別のお話」ということで。

 久しぶりに楽ちん多面についてお話をさせてください。「楽ちん多面」は多面的機能支払交付金の報告書を簡単に作成できてしまうソフトです。昨年11月11日にVer.1.2.0.5の販売を開始し、今年になって、令和2年度版として、6月10日にVer.1.2.2.0の更新・販売を始めました。昨年版からご利用の皆様には、無料で最新版にバージョンアップさせていただきました。

 令和2年度版を用意したのは、本省の様式が少々変わったことにも対応していますが、それだけではありません。ユーザーの皆様から、使い勝手についての様々な要望や意見を取り込み、より使いやすいものを目指したためであります。

 本ソフトは、これまでも何度か「言わせてもらえば」のコーナーで取り上げさせていただいていますが、「ユーザーの皆様と一緒に作っていくソフト」をコンセプトとしていますので、常に、ユーザーの皆様から問題点を指摘していただき、改良を加えている訳です。

 「初めから完成版を作って、とにかく安く売ってくれればそれでいいよ」という意見の方もいらっしゃるかもしれませんが、私は長い間、農村づくりとICTに携わってきた経験の中で、この楽ちん多面のソフトに限らず、農村づくりに関わる技術については、只々便利なものを作れば良いとは思っていません。それ以上に、皆さんと一緒に考えていくことを大切にしたいのです。そうすることで、技術の真の使い道が見えてくると思っています。単に、技術者が現場から課題を聞き取って、開発し、販売する方式ではなく、リアルタイムに現場に寄り添うことで、現況に対処するだけなく、将来の方向も見えて来るものと思っています。

 よって、メール等でいろいろと意見を言ってもらうことは、最高の喜びであります。中には、「買ってみたけど、初っ端からよくわからん」と電話をしてきた方もいました。そんな時、ちょっと時間はかかりますが、じっくりお話し、何度もメールで説明をしながら対応させてもらっていますが、そのうちに、相手も操作のことだけでなく、どこが分からなかったのかが見えてきますし、私も何が問題なのかが分かってくるのです。それに気づいた時、当研究会の目的は達成されていることになります。

 昨年版からの更新においては、昨年からの利用者の意見をふんだんに入れて、Ver.1.2.2.0を公開したのですが、それ以降もいろいろとご意見を承り、分析をして、重要な機能を追加し、昨日9月5日、Ver.1.2.2.3の公開に踏み切りました。

 楽ちん多面は、これまで、カレンダーに活動と金銭出納の記録を日記のように付けていくだけで、報告書様式の様式1-6と様式1-7と様式1-8が自動でできるという機能に集中しており、会計処理関係は各地区でやっておられる方法に依存し、付属程度にしか帳票を付けていませんでした。しかし、会計処理にもたいへんお困りであることを鑑み、今回、帳票の充実を図りました。間違いなく、ほとんどのことは「楽ちん多面Ver.1.2.2.3」で支障なくできることと思います。

 いろいろな意見や要望を聞くと、「なるほど!」と納得することもありますし、人によって言っていることが違うなぁと思うこともあります。現に、現在の楽ちん多面においても、「昨年版で十分ですよ。いろいろと便利にしてくれたのはありがたいけど、私のところでは、まず、活動と金銭出納の記録がしっかり残ってくれればそれでよいので」と言われる方もいます。そうかと思うと、「私たちがやっている方法がそのままできなければ使わないよ」と言われる方もあります。

 全国すべての多面活動に取り組まれる皆様の誰でもが、簡単に使えることは目指すべき方向ではありますが、ソフトとはそういうものではなく、多様な中から共通的な機能を選択しつつ、価格に直接反映してしまう開発予算ともにらめっこしながら、適切なバランスのところを作っていって、ソフトに対して、皆様に「納得と共感」をしていただくことだと思います。

 あれ、誰か最近こんなキャッチフレーズを使っていたような・・・。私は○○派ではないですよ。たまたま同じになっただけです。そういう意味で、ユーザーの皆様との会話を重要視しています。

 開発そのものよりも、「どういう意味でそう言われたんだろうか」、「あまりにも作り込み過ぎると、ユーザーが考えなくなって、理屈がわからなくならないか」、「作ればいいってもんでもないだろう」、「○○さんが言っていたあの機能は重要じゃないか」、「いや、△△さんは要らないっていってたよ」、「そんな機能搭載したら、開発費そうとうかかるよな」と技術陣は、一つ一つを議論しつくし、すったもんだし、なんとか一つのソフトに収めていくわけです。ぶっちゃけ今回は、意見が分かれたものも多く、結構苦労しました。

 今回の改良に至る技術陣の奮起を思い起こすに、そうとう古いのですが、あの三谷幸喜さんが脚本を書かれたフレンチレストランが舞台の「王様のレストラン」というドラマのあるシーンを思い出しました。私はあのドラマが大好きでした。

 当時何回もビデオを見たので、未だに各場面のセリフが心に焼き付いています。高麗屋白鸚の松本幸四郎、筒井康隆、鈴木京香、山口智子という豪華俳優陣もすごいので、演技も心に残るものだったのでしょう。そのドラマの中で、こんな松本幸四郎の名セリフがあります。

脚本風に

~夜、レストランは満席

~先ほど、ギャルソン(ウェイター)の千石さん(松本幸四郎)が,お得意様6人から無理な注文をとってしまった。調理部門では、「作ったことない」とか、「食材が無い」とか、激闘のドタバタがあったが、サービス部門との連携で、なんとか何事もなかったようにメインのお皿を運び終えた。

~ギャルソン千石さんと総支配人原田くん(筒井康隆)がキッチンへ続くドアの横に並んで立ち、お皿を楽しむお得意様たちを眺めながら会話している

原田くん

「不思議な感じです。」
「裏でどんなことがあったか全然知らないで,あの人たちは食べてる。」
「あんなに,おいしそうに。」

千石さん

「それで,いいんです。」
「それが,レストランです。」

「それが、楽ちん多面です。」楽ちん多面頑張ります。

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