ゼロはじ 「第20回 Excel(エクセル)はデータ項目の入力から始める」

 3.適当にはじめる

 表題は「適当にはじめる」となっていますが、作りたいイメージが適当ではいけません。「イメージはしっかり、作るのは試行錯誤をしながら」という意味です。ここでは早速、例を用いてイメージを固めてから考えていきます。

 多面的機能支払いのような地域での環境保全活動の事務において、毎日の活動記録を作表したいと考えましょう。活動記録において整理していくべき項目は、活動の日付、活動の内容(多面的機能支払いの活動では活動内容に番号が振られていて、活動項目番号と呼ばれています)と活動に当たった開始時刻、終了時刻、その間の休息時間、参加者名や農業者と非農業者の数があればいいですよね。

 参加者名は初めからすべての人を登録しておいて、活動日に来た人だけをチェックできるようにして見ましょうか。

 もちろん、表の発展性を考えて作ることは大切です。拡張性とも言えます。発展性なり拡張性とは何かと言いますと、せっかく参加者名を入力したのだから、日当の計算もして、誰に日当を支払うのかとか、その日、草刈機を持ってきた人もチェックしておいて、リース代金を時間単位で支払おうとか、最終的には、一人の人が一年間でどれだけ活動に参加して、日当とリース代金は幾ら支払うのかとか、さらに多面的機能支払いの場合は、最終的に国等への報告様式の提出が求められているので、それらの様式にデータを転記したいとかと考えていくことを言います。例えば、図20-1のような多面的機能支払いの様式1-6へのデータの転記を考えるのも発展性と言えます。

 しかし、その発展性まで考えて表を作ろうとすると、作る表の数も増えますし、いくつかの表が連動しますので、イメージも複雑になってきます。そこで、ゼロはじ初心者は、発展性のことは考えずに、一番単純な、一枚の表づくりから説明していくことにします。覚えておいてほしいのは、「表は発展性を考えておくべきだ」ということです。

 さて、Excelでは、基本的に1シート(Sheet)に1枚の表を作ります。シートとは図20-2のように、セルが行列に並べられた1枚の面のことを言い、図20-2で見えているのは「Sheet1」です。⊕を左クリックするとSheetは増えていきますが、ゼロはじ初心者は2、3枚までにしておきましょう。例では1枚しか作りません。

 それでは、活動記録に記録しておきたい項目を確定し、それを適当に作って行ってみましょう。

3.1.項目を並べる

3.1.1.項目を入力と行の挿入

 最終イメージは図20-3のような表を作ると思ってください。但し、初めから完璧にこのイメージ通り作ろうと考えなくてもかまいません。

 先ずは、項目をとりあえず並べてみましょう。一番左の列に、項目を代表するような大きな項目を並べます。ここでは、図20-4のように、活動日、活動時間、活動項目番号、参加者名、参加者数を縦に並べます。この例の場合は、横に日付が並びますので、表の時間間隔は異なりますが、横が時系列となった一つの項目で、縦に関連したデータが並ぶ表の構造に当たります。

 それぞれの大きな項目の中身は分解されます。活動日はこれ以上分解されませんが、活動時間は、開始時刻、終了時刻、休息時間、実施時間という項目に分かれます。活動番号も6つの番号を一セルに一つずつ入力できるようにしましょう。そのためには活動項目番号の横には6つのセルが必要となります。同様に、参加者名は参画する全員分の名前を入れておきましょう。ここは、名前を実際に記入するという方法もありますが、今回は、10人だけなので、名簿を作って、活動日に参加した者のところに〇をつけるタイプにします。 さて、活動時間は4つの項目からなりますので、ここだけで4行分必要となります。そこで、活動時間と活動項目番号の間に3行分挿入して場所を確保しましょう。3行分挿入するためには、活動時間のセルの左横の3の行のところで、マウスを左クリックしたまま下に3行分スライドすると選択されます。次に、右クリックして、メニューを表示して、真ん中あたりに「挿入」がありますから、それを左クリックして決定してください。図20-4の右端の図のように、活動時間の下に3行の空行が挿入されました。これで活動時間に関して4行が割り当てられました。もちろん、最初から3行空いていることが分かっていれば、空けて作ればよいのです。

 同様にしていけば行が挿入できますが、挿入はマウスからではなく、タブの機能(リボン)の中からメニューを探して挿入することもできます。それが図20-5です。3行分の選択については、行3のところで、マウスを左クリックしたまま下に3行分スライドしますが、その後は、右クリックではなく、ホームタブのリボンの中の「セル」の機能に「挿入」のボタンがありますので、これを左クリックすると、メニューが出て「シートの行を挿入」を左クリックしても、3行分が挿入されます。

 全部の工程を終了しますと、図20-6左図となります。なお、一番上の行は「活動記録」というタイトルを入れるため、一行挿入しました。

 次に、大項目の下の項目を入力していきます。なお、参加者名はここでは10人限定で作りますが、農家と非農家を分けた方が良いので2列目に農家と非農家の項目、3列目に名前を入れることにします。山本一太郎さんから西原六太郎さんまでが農家で、東田七太郎さんから佐藤十太郎さんまでが非農家の場合、山本一太郎さんの左のセルに農家と入力し、東田七太郎さんの左のセルに非農家と入れてください。図20-6右図のように出来上がります。

3.1.2.行の削除

 5行挿入しようと思っていたが、間違って6行挿入してしまって、削除しなければならないこともあります。その時は、図20-7のように削除したい行にカーソルを当てて左クリックして選定した後、右クリックでメニューを表示して、「削除」を左クリックします。

3.2.列の幅を調整

 出来上がった表を見ると、長い文字数のものもあって、セルを抜け出して隣のセルまで侵食していますので、たいへん見にくいですよね。その時は、セルの列幅を調整することができます。また、文字数が多すぎるが、列の幅はそれほど広くしたくない場合もあります。そういう場合は、行の高さを変えて、文字を折り返して読ませるようにした方が良い場合もありますが、これは次回説明します。

 ここでは、列幅を大きくして調整することだけを学びましょう。数値を代入して、調整することもできますが、先ずは適当に広げる方法で調整してみましょう。

 列幅を広げたいセルの列番号の右端にカーソルを移動すると、左右矢印↤↦が出ますので、それが出た状態で、左クリックを押したまま、カーソルを右方向にずらしてください。左側の列が広がります。適当に引っ張って、文字がセル内に収まるところで左クリックを外すと、そこまで列が広がっています。同様にして、調整したものが図20-8です。

 次に、数値を入力することで列の幅を調整する方法を説明します。図20-9のように、幅を変えたい列を選択します。列番号まで戻る必要は無く、対象となる列のセルならどこでも選択できます。ここでは、A列の上にカーソルを持ってきました。この状態で、マウスの右をクリックすると、メニューが表示されます。「列の幅」を選択すると、右下図のようにセルの列の幅の数値を入力する欄が表示されますので、現在値では小さすぎるならより大きな値を、大きすぎるなら小さな値を代入しましょう。

 また、幅の調整についても、「ホーム」タブで、「セル」の機能に「書式」がありますので、これを左クリックして、メニューを出して「幅」を選択しても調整できます。こちらの場合は、図20-10のように「列の幅の自動調整」なども選択できます。

 D列からN列までも同様にして、列の幅を10にしておきます。以上で、図20-2にかなり近づきましたね。

※もし、講座に合わせて同様に作りながら練習している方がいらっしゃいましたら、できたところまでの表を保存しておきましょう。保全についてはExcel(エクセル)の説明の第24回の講座で詳しく説明いたしますが、ここで、図20-11を使って、操作方法だけを説明しておきます。出来上がった表の左上のタブの左端の「ファイル」を選択すると、ファイルメニューが出ますので、「名前をつけて保存」をクリックし、名前を入力し、「保存」をクリックしてください。ファイルを保存する場所を指定場合は、「参照」をクリックするとエクスプローラーが開きますので、第14回、第15回で学習した方法で保存先のフォルダーを決定してください。

 次回以降は「罫線の引き方」や「セルの結合」について学んでいきます。

※今回は二十一番札所。京都府亀岡市にある天台宗の寺院、菩提山穴太寺です。「あなおじ」が正式なようですが、私は父からは「あのうじ」が正解だと教えられました。庭園が有名で、京都の名勝の一つであります。ご本尊は聖観音像ですが、これは今昔物語にも載っている「身代わり観音」の由来となった観音様です。しかし、感世作とされるこの聖観音立像(重文)は1968年に盗難にあってしまい、未だに発見されていないということで、現在は、昭和の名工「佐川定慶」氏の作の像が祀られています。身代わりの身代わりということなのでしょうか。

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