新しいものって、雑だったり、汚いとか下手くそ

 今日は、久しぶりに農政のことを話してみますね。選挙のマニュフェストが揃ったので、農業政策を中心に読んでみましたが、どの党のマニュフェストを読んでも、なんだか煙に巻かれたような書きぶりでよく分からない。それぞれ言い方の違いこそあれ、そんなに大きく違ってはいないように思います。

 だいたい書き方が狡い。「農は国の基(もとい)である」とか「食料安全保障は重要」と言われたら、そりゃそうでしょうと言うしかないし、重要なのは、「だから、何をするの」と言うことなんですが、お決まりの基盤整備にスマート化と輸出拡大ばっかり。それでも、なんとか違いを探しだそうと、例えば、自民党と中道改革連合の農政基本政策の柱を読み込んでみるが、やっぱり大した違いは見えてこない。整理の軸がズレているので比べにくいというだけで、言っていることはほとんど同じなんじゃないだろうか。更に言わせてもらうと、今までやって来た農政と何が違うのって言いたくなるほど変わり映えがしない。ついでに言わせてもらうなら、『中道改革』という党名と、アイナ・ジ・エンドさんの曲の『革命道中』は語呂がかぶっている感じがする。

 農政については素人なので、どうまとめれば良いのか分からないが、とりあえず、中道改革連合が農業の柱として挙げている主要な政策を基本にして、自民党の農業政策の対応する項目を分解して、比較しながらまとめてみたところ、下の図のようになった。どことどこの政策が対応しているのか、また違うものになっているのかという観点で整理しているつもりですが、実際には重なり合っていて分け難いし、私のミスリードもあるんだと思います。ピタッと貼り付けて比較はできていない。その中で、これは少々違うのではないかって思うのは、中道革新は旧民主党時代の小沢さんの遺産である『農業者戸別所得補償』を改良した所得補償対策として、『食農支払』たるものを提案しているのに対して、自民党は「水田活用の直接支払い交付金(水活)」の見直しを強化して、地域型補助金対策を進めるとなっている点ぐらいだ。でも、これらも古くから主張されている政策で、国民民主党の『食糧安保基礎支払』なんかもよく似たものなんだろう。国宝みたいな政策じゃないか。

 兎に角、これらの農政改革の効果がよく見えない。これまで同じようなことをやってもたいしてうまく行かなかったのだから、農政をひっくり返すような革新的な政策のアイデアを出さんといかんのではないのか。それが無いのです。

 そしてもう一つ気がかりな点が、これはどの党もそうなのですが、農政が国の政策で一番大切だっていつも言うのに、国民の関心がかなり低いためでしょうか、本題はかなり外れたところに追いやられていることです。あれやってもダメ、これやってもダメ、政権が変わる度に、大臣が変わる度に、私はこう思うみたいなことだけで、表面上のまやかしの政策を展開するものだから、いつまでたっても軌道修正だけをしていて、着陸してこないから関心も無くなってくるよな。「誰か、どの党でも良いから、これが今、農政の本当の答えだ」って言う人は出てこないのかい。納得のいく政策をぶつけてくる党はないのかい。

 参政党は「食料自給率100%を目指し、農業者を公務員化する」ことを掲げていますが、これは目標値も議論も幼稚だから使えないし、そのまま実行すると、今の農業者や関係者からは総スカンを食らうだろうし、歴史的な考察からも、共産国の失敗みたいになって、うまく行く訳がない。彼らも分かっていると思う。でも、もっともっと研究して、「土地所有や担い手の多様性も考慮に入れた議論をしていけばやれないことはないかも」って、論理的にねじ伏せて見せてくれよ。

 去年の暮れに、テレビの毎日放送『情熱大陸』でアーティストのVaundy(バウンディ)さんの特集が2週に渡って組まれていて、その人となり、音楽や映像との向き合いなどについて追っかけていた。その中で、インタビュアーが「音楽はすごいけど、映像や写真は普通だね、といわれる怖さはない?」と、意地悪な質問をしたのに対して、彼は「怖いですよ」と返事をしたのち、ぼそぼそって「新しいものって、雑だったり、汚いとか下手くそとか、そういうところから出てくると思っているっし」って言葉を吐いた。これは面白い言葉だ。神谷代表の農業者公務員化にそれほど賛同できないのは、これが農政の一つの答えだとして訴えるからだと思う。雑だ、汚いというところから見てみると、案外面白いのかも知れない。

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