ワークショップをやってみよう(4)

4.始めよければ終わりよし

 ここでは、「集落環境点検手法」について解説します。「あっ、それはやったことある。」と言う方も大勢いらっしゃるとは思うのですが、さて、点検活動をしたときの様子はいかがでしたか。もちろん、「楽しかった」「住民も喜んでた」というワークショップになった方もいらっしゃると思いますが、中には、「とりあえずは歩いたけど特に変わったことは・・・」とか、「歩き疲れた」という反応だったワークショップもあるのではないでしょうか。

 集落環境点検は、地域環境を十分に認識できていない住民の方を対象に行っても効果がありますし、これまでに十分地域づくりや景観づくりの活動を進めてきて、問題点は十分把握しているが、実際の現場確認をしていないという集落の住民を対象にしても効果的に行える方法です。

 「自分の地域のことはよく知っている。毎日見ているのだから」、これは、地域の住民がなんとなくそう感じている地域の環境に対する認識です。しかし、これまで、幾度となく集落環境点検をやってみて、必ずと言って良いほど、地域の住民は、見たこと無いもの、初めて知ったということに遭遇します。私も、自分の住む地域のことに当てはめてみますと、確かに、自分の身の回りのことをよく知らないように思います。考えてみれば、朝、車で出勤、夜暗くなってから帰宅、土曜日と日曜日は疲れて寝ている。たまに子供とは、ディズニーランドへ遊びに行ったり、海へ行ったり。あれあれ、家のすぐ近くの公園で遊んでいない。 仕事を辞めて、健康のために軽い散歩をしはじめ、最近ようやく周りのことが見えてきました。 農家の方でも、これに近いことが起こっている場合があります。以前はそうではなかったのでしょうが、農作業に行くときは、車で農地へ、買い物も集落内に無かったりして、郊外店まで、もちろん兼業の方は、日常は町外へ出ていたりします。日頃住民の皆さんは、地域の環境に接していないのです。よ~く接しているのは、子供と主婦です。でも、子供だって、テレビゲーム、主婦だってテレビでヨン様の追っかけ(古い?)なんかをしていると、もしかすると、地域の環境のことなんかほとんど分かっていないかも知れません。不思議なことに、これまで集落環境点検をして、よく地域のことを知っているなぁと関心した人は、案外、外から入ってきたお嫁さんだったり、転校生だったします。

 日常の環境は、仲の良い夫婦のようなもので、空気みたいな存在ですね。ちょっと、内容は違いますが、テレビでよくやっている茂木健一郎の脳クイズの「アハ体験」みたいなもので、写真の一部がだんだんと変わっていっても(例えば、景観写真に写っている橋の色赤から青に20秒ぐらいで徐々に変化します)、なかなか気づかない。

 クイズはやり直せば良いですが、環境が変わっていることに気づかなかったりすると、それはやばいですね。ですから、知っているつもりで終わらせてはいけないのです。

 とにかく、一度、初めての地域を歩くのだという想いで歩いてみてください。昨日まで何の変哲もない風景だと思っていたところが、違って見えることがあるものなのです。

 前置きが長くなりましたが、いよいよ本題に入りましょう。この集落環境点検、良いことばかりをお話ししましたが、実はうまくやらないと効果が上がらないというのも事実です。それでは一体どのように行っていくのが効果的なのでしょうか。これから3回に分けて一般的な方法について説明していきます。一回目は5つのステップに分かれるプログラムの内、ステップ1の準備段階「オリエンテーション」とステップ2の「環境点検の活動」、二回目はステップ3の「環境点検マップの作成」、三回目はステップ4の「将来構想図の提案」とステップ5の「発表」についてです。

(1)活動プログラム

 本来、集落環境点検活動のプログラムに定番はありません。地域の状況や特性、主催者のセンスによって大きく変わります。しかし、大きな流れは変わりませんので、活動を行うに当たっては、主催者の地域に対する考えと地域住民の立場とを明確に分けて、取り組んでいきましょう。決して、主催者側の思い込みを押しつけることがないように心掛けましょう。

 点検活動としては、環境点検マップを作成して発表をすれば完結しますが、普通は、その後に、将来構想図を考えるという作業があります。食材(お宝)を見つけたら、やっぱり食べたい(利用)ですからね。もちろん、点検活動に引き続き将来構想図を策定し、まとめて発表というやり方もありますが、将来構想図は、もう少し、頭の体操をしてからの方が良いものになります。但し、一気にやりますと時間もかかりますし、環境点検マップの作成と構想図の提案を時間的に空けすぎても効果はありません。図3が一般的なフローです。

図3 集落環境点検の一般的なフロー
(2)オリエンテーション(ステップ1)

 必ず、オリエンテーションは行いましょう。おおよそ、次の順で行います。

1)挨拶とスタッフ紹介

 参加者はグループごと(グループで無い場合もあります)に席についてもらい、主催者とファシリテーターが挨拶をします。

2)スケジュールの説明

 本日のワークショップのスケジュールと注意事項を説明します。

3)グループ名を考える

 最初にグループ名を考えてもらいます。地域の雰囲気や景観を勘案した上でウィットに富んだ楽しいグループ名を付けて下さい。グループ名は、オリエンテーションの段階で付けなくて良い場合もあります。途中で、決めてもかまいませんが、グループ名は必ず付けるようにしましょう。

4)役割分担の決定

 作業は全員で行います。点検の内容によって役割は変わりますが、おおよそ表1のように、進行係、記録係、写真係、連絡係が必要となります。各自の役割をグループ内で相談して決めましょう。主催者がある程度、班長役となる進行係を決めておいた方がやりやすい場合が多いです。ここでは、一班の人数が4人以上となっていますが、班員数によって係の数や役割は分けましょう。多くの人が積極的になんらかの役割を持ち、傍観者でないようにする工夫が必要です。かと言って、たくさん役割を作ってしまい、「船頭多くして船なんとやら」でも困りますし、進行役に役割が集中しすぎるのも問題です。

表1 班メンバーの役割分担

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