半年に一回は私の周辺の状況についてお話させていただいています。私事でたいへん申し訳ありませんが、今回は私の病気に纏わるお話をさせてください。

 病気と闘っている方のブログなどを拝見させていただくことがありますが、多くの方がお辛い中、同じ病にかかっている方へ情報を共有するとともに、自分自身を鼓舞し、病に悩んでおられる多くの方へ勇気を与える内容のものが多いのですが、私のは、実際にあった出来事を淡々と綴るだけになってしまい情けない限りです。また、農村づくりとも関係ない話になってしまいますが、まぁ、半年に一回の私自身の病状公開記録だと思っていただき、勘弁してください。

 私が前立腺がんのステージⅣであることは以前にもお話しいたしましたが、治療に内分泌療法を選択し、今も治療を続けています。このがんは、精巣や副腎から分泌されるアンドロゲン(男性ホルモン)の刺激で病気が進行する性質があるということで、内分泌療法はアンドロゲンの分泌や働きを妨げる薬によって前立腺がんの勢いを抑えるという理屈です。今のところ、このホルモン剤による治療がよく合っているようで、急なほてり、発汗を引き起こすホットフラッシュの副作用はもう二年以上続いてはいますが、がん細胞の増殖は抑えられて、その指標となるPSA値は正常値以下に低下し、なんとか治療生活を送れています。

 私の場合、リンパ転移がある上、がんの悪性度を示すグリーンスコアが10(1~10までしかない)という悪性中の悪性ということで、油断はできませんが、前立腺がん自体が比較的進行が遅いという特徴もあり、PSA値の値も低いので、今すぐどうこうなるという状態ではありません。ですから、私もこうして、まるで何もなかったかのように研究会を運営している次第です。

 さて、この治療において、私はお腹の皮下(ちょうど臍の横あたり)にリュープリンと呼ばれる薬を注射し、さらに経口薬も服薬しています。ただ、リュープリンの注射について、どうしても納得いかない点があったので、先日、私の素人考えを、恐れ多くも主治医に対して、とくとくと説明してしまいました。素人考えや判断はよくないと、前回の「言わせてもらえば」で述べたばかりなのに、検査・診断・治療と、ここまで劇的にがん細胞をせん滅してくれた主治医に対し、佐賀の地元研究家張りに(前回をお読みください)、持論を展開してしまいました。

 実は、リュープリンという注射は、1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月タイプというものがあるのですが、コロナ禍の影響で生産がストップしているらしい。いつもは3ヵ月タイプのものを注射しているのですが、今は、6ヵ月タイプしかストックがないので、次の注射は6ヵ月タイプにしてもらえないかと言われました。これ、何が違うかというと、1ヵ月タイプは1ヵ月に一回、6ヵ月イプは6ヵ月に一回注射をすることになり、ようするにお腹に一度に入れる薬の量が異なります。1ヵ月のものは1ヵ月で溶け出す薬が入っていて、6ヵ月だと6ヵ月かけて薬はじわりじわりと溶け出すようになっていて、薬の量や粒子の大きさが調整されています。針の大きさも少し異なり、6ヵ月タイプは太い針を刺すことになり、1ヵ月タイプより少し痛いのです。只、効き目は変わらないと言われています。

 私はこれまでに、すべてのタイプを経験しました。そして、その後のPSA値の低下、安定具合を見ています。私はまがいなりにも科学者の端くれであった訳ですから、これまでの検査結果はすべて自分でグラフにして、PSA値の低下傾向を見ていますが、これまでのデータを見る限りでは、1ヵ月タイプと3ヵ月タイプは、値が低下または安定していましたが、6ヵ月タイプの時は、後半2ヵ月は上昇傾向にあり、どうも効きが悪いように感じていました。そこで、こう言ったのです。
「先生、6ヵ月タイプなんですが、あれ本当に薬ちゃんと溶け出しているのですか。なんとなくなんですが、早めに溶け出してしまい、最後の方は効き目が薄いみたいに思えるんですけど。お腹に6ヵ月も溜まっていると、たまにはお腹さすったり、風呂で長湯してしまったり、私の家には猫ちゃんがいるんですけどね、僕のお腹の上に乗って、ちょうど薬が入っている辺りのお腹を踏み踏みするんですよ。どう考えても、6ヵ月もお腹の中に薬が残っているとは考えにくいのですが」

 皆さんどう思います。お腹の中に留まった薬が調整されて毎日一定量だけしか溶け出さないって信用できますか。ある程度の調整はされるのでしょうが、6ヵ月も一定に溶け出すというのは常識的に考えてありえないように思うのです。
 でも、先生は、「フフッ」と苦笑しながら私に説明しました。
「いやいや、6ヵ月タイプでも、ちゃんと最後まで一定の効果がありますよ。だって、これまでにものすごい量の実験を繰り返して、さらに臨床試験も十分されて一般になっている薬なんですから。薬はマイクロカプセルに入っていて、間違いなく、一定量しか出ませんから、大丈夫」

 それでも、僕が自分で作ったグラフを持ち出して、6ヵ月タイプの後半は効きが悪く、1ヵ月、3ヵ月タイプは問題ないという説明をすると、最後までふんふんと頷いているので、納得したのかと思うと、更に淡々とこう答えた。
「ずっとその間、同じ生活パターンだったですか。どこかに出かけたり、たまにはお酒を飲んだり、いろいろと状況は違ったはずだよね。その情報も無いと効き目が落ちたとは言えないでしょ。確かに、このデータだけだと効果が薄いようにもみえるけれど、リュープリン自体の効果が落ちて来た時期と重なったということもあるんだし」

 僕は、リュープリン自体の効果が落ちることは知っていたのですが、6ヵ月タイプの注射を避けたいと思う一心で、どうもデータを都合よく解釈していたようだ。

 やっぱり素人考えだったと言う落ちなのですが、兎角、人というのは見えない世界の話には弱いようだ。マイクロカプセルの技術ができて半世紀が経ち、疑念の持ちようがないのですが、依然としっくりこないとともに、その技術力の凄さに感動しています。

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