令和4年度に向けて

 2022年3月16日、夜遅くに発生した福島県沖を震源地とする地震により被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。

 さて、令和3年度もコロナ、コロナの一年でした。3年間に渡って次々と変異株を生み、世界を脅かした新型コロナも、日本では2月末になって、ようやくオミクロン株の収束が見えて来て、日常の生活が戻って来るかと思いきや、今度は、2月24日にはロシアのウクライナ侵攻がはじまり、3月11日に東日本大震災から11年目を振り返っていたところ、3月16日は福島県沖でのマグニチュード7.4、震度6強の地震が発生と、なかなか、社会は静かで、心穏やかに落ち着いてはくれないようです。

 地球全体に「身土不二」、「依正不二」が填まっているように思うのです。行いをする人の「身」と、その身が拠りどころとしている環境である「土」は切り離せないとする仏教の「身土不二」の教え(依正不二も同様→依<え>:人を取り巻く環境や社会、正<しょう>:人の身)と同様に、地球という環境が悪化するとそれによって生きている人の身も心も健全ではなくなってきているのかも知れません。もちろん、これは不可分の考え方で、その環境はこれまでの人の行為によってもたらされたものでもあります。

 ロシア(プーチンがというべきか)が人道的でない戦争を始めたという見方だけではなく、民主主義と専制主義、資本主義と社会主義のバランスから、人種・宗教・性別差別に至るまで、社会の多様性の承認そのものが崩れ、分断が発生しているのは、地球そのものを傷つけ環境破壊を続ける人類そのものに巣くっている病魔が原因と言えるのではないでしょう。

 気候変動があるから戦争が起こる訳ではありませんが、気候変動に代表される地球環境の不安定さが人類の不安を呼び覚まし、その不安が、共に助け合いながら生きていくという宇宙船地球号の乗組員の間に不信感を煽り、一方で連携を強めながらも、また一方で、これまでなら認め合えたものまで認められなくなってきて、疑心暗鬼に陥っているみたいにも思えます。微生物に意思はありませんが、パンデミックも生物界の多様な種どうしの遺伝子に組み込まれた疑心暗鬼みたいに見えます。2020年3月にWWFは報告書『失われる自然とパンデミックの増加』の中で、感染症拡大の原因は深刻な環境破壊にもあることを指摘しています。

 農村づくりも、人の繋がりが大切だと言いながらも、なぜか政策は効率性や経済性にばかりシフトしてきており、本質である互助の精神を根幹に置いた心づくりになっていない。「消滅してしまう地域を如何に消滅させないか」、「どうしたら儲かる農業・農村になるのか」ばかりを形骸的に求めてしまう。「RMO」も良いだろう、「半農半X」も、「田園回帰」も悪くない、「スマート農業」だって必要です。でも、最も大切なことは、そういうとりあえずの技術や制度のイノベーションを求めるやり方を抜本的に考え直し、金やエネルギーを消費する政策ではなく、心を育てる政策をイノベーションとして成立させていく流れであると私は思うのです。そして、そのためには、技術や制度に飛びつかず、地域毎に社会毎に、面倒であっても、住民(当事者)が周辺情報や社会と環境を正確に捉え、学習して得た「知」を血肉としてから取り掛かることです。それこそが、当会が信条とする「住民の住民による住民のための農村づくり」です。

 さて、日々、心づくりとしての農村づくりに勤しんでおられる地域リーダーの皆様、農村集落住民の皆様、当研究会会員の皆様、いかがお過ごしでしょうか。

 農村づくり・ICT支援研究会の運営も3年目が終わりました。本稿末で公表する令和3年度会計報告を以って会計を締めて、3年目に入ることにします。

 3年度は、新規会員は2名増の1名減で、昨年の18名から19名となりました。只々、会員の皆様のあたたかいご支援と深いご厚情を以って、なんとか乗り切ることができた次第です。改めて感謝申し上げます。

 ホームページのコンテンツの充実を図るとともに、『楽ちん多面』の普及も、もっと促進したいと考えておりましたし、三度目の正直で山形県縦断(会員が最も多い)のキャラバンも予定しておりましたが、断念しました。講習会や研修会の話もたくさんありましたが、持ち上がっては消え、持ち上がっては消えということになってしまいました。

 ただそんな中、Webの研修会や勉強会は増え、今年度は二十件ほどありました。特に、静岡県様にはたいへんお世話になり、2月には3日間連続のWeb研修会に参加させて頂きました。楽ちん多面の紹介だけではなく、これからの多面事務の考え方やこれまで研究会が関わりましたたくさんの地域での多面事務の取り組みのノウハウ、また、将来的なクラウド活用の方向性などを紹介させていただくことが出来ました。この研修は全国どこでもお引き受けしますので、是非お声かけください。

 ホームページの方は、今年度はちょっと固めの記事が多くはなってしまいましたが、「言わせてもらえば」には51編の記事を投稿できました。また、4月から始めました全33回予定の『ゼロからはじめる農村ICT講座』は、現在22回まで進みました。パソコンを初めて使う人でも理解できるという意味で、「ゼロからはじめる」として題して、意気込んで書き始めたものの、回を重ねる毎にだんだんと難しくなり、今は最初の易しさはどこへ行ったのかという感じになっており、易しく書くことの難しさを実感している次第です。アクセスを分析しますと、読者は10人程度でありますが、15日、30日の投稿日に必ず見てくれている方もいらっしゃって、その期待に応えるためにも、読者の皆様にはご不満はあるかもしれませんが、後11回、最後までがんばって書き続けますので、是非よろしくお願いします。

 また、1月には、ホームページを刷新し、画像を大きく表示するブログ型にし、新しい講座「暮らしの知を地域活性化につなげる」も始めました。前サイトと比較すると、PVは半分ほどに低下していますが、見やすくなったとは思いますので、次年度も時事の話題を取り込みながら、農村づくり、ICT導入支援に関する記事を充実して参りたいと思います。

 前年度末は、私の前立腺癌のマーカー値が上がりつつあって不安ではありましたが、今年度途中から薬を変えて、今はマーカー値も落ち着き、体力もそれなりに回復して、やる気満々であります。令和4年度も、会員の皆様並びに農村づくり、農業・農村のICT化を進めておられる方々のお手伝いをしてまいりたいと思いますので、引き続き、農村づくり・ICT支援研究会をよろしくお願いいたします。

 まん延防止等重点措置は全国一斉に解除されましたが、まだまだ油断はできません。どちら様も、ご自愛いただき、「うがい」「手洗い」「マスクの着用」を徹底しましょう。

令和3年度会計報告

 農村づくり・ICT支援研究会の令和3年度の会計報告を致します。これは、会則第9条「会長は年度末に、年度の会計報告をホームページにおいて公開する。」によるものです。なお、令和3年度は2021/4/1~2022/3/31が会計期間となります。

 先ず、会費でありますが、おかげさまで、研究会の会員数は今年度1年間で19名となりました。只々、会の趣旨に賛同いただき、ご支援いただけたことを心から感謝いたします。

 会計は、研究会の運営に関わる「研究会一般会計」と多面ソフト「楽ちん多面」や技術普及等に関わる「楽ちん多面等ソフト普及会計」に分かれます。下記表にありますように、研究会一般会計における収入は、会費と私の講演会や雑誌への投稿収入などを充てさせていただきました。支出は、今年度も、広報用の印刷物、ネット環境の整備、講義資料作成費などに充てました。昨年よりも繰越金は減り、54,476円となっていますが、今年は、夏ごろにPCの不正アクセスが相継ぎ、セキュリティ対策を強化するため、ネット環境整備費へ多く充填したためです。昨年よりゆとりは無くなりましたが、情報を守るためでありますので、ご理解いただきたく存じます。

 また、楽ちん多面等ソフト普及会計における収入は、主として「楽ちん多面」の販売促進に関する作業費として968,000円ありました。支出については、農林水産省の様式に大きな改変が無かったことで、ソフトの開発費は抑えられましたが、本研究会のコンセプトである、「住民の皆様と共に考え改良していく精神と寄り添い支援」に力を入れ、広報活動を強化させていただきました。令和4年度版の改良も予定していますので、改良費積み立てとして332,274円を計上しました。

 楽ちん多面等ソフト普及会計は、最低限の経費については支出しておりますが、基本全額楽ちん多面の普及に利用しますので、研究会としての収入は3年度も2年度同様0円とさせていただきました。

 以上、第7条規定により、副会長による監査を以って、令和3年度会計報告とします。

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