60時間の審議

 国民民主党の榛葉幹事長は10日に自民党の鈴木幹事長より予算案の成立に向けて協力要請を受けました。その時に、13日に衆議院で採決する場合は協力は難しいが、16日の採決であれば審議が60時間を超えて過去の例に近づくので、予算案成立に賛成する趣旨のことを返答したみたいです。国会って本当に奇妙なところですね。運営方法も議論も。誰だって、おそらくこう言う、「何時間議論したかではなくて、審議し尽したのかどうか」だと。60時間ぐらい時間を取れば、おおよその質疑応答は出尽くしたという意味で言っていることは理解できますが、私は、国会の予算委員会の審議を見ていて、そもそも出尽くすほど効率よくやれているとは思えないのです。

 国会の質問は、事前準備と答弁作成を経て行われ、質問主意書の提出後、政府与党と野党の間で調整が行われているのですし、答弁する政府の方も、想定問答は官僚が作っていて、議員や大臣は基本的にはそれを読んでいくだけなので、これほど非効率なものは無いのではないだろうか。

 私も昔、特定の質問部分だけでしたが、国会審議の想定問答を作ったことがありますし、野党の議員から質問の内容を作ってくれと求められたこともありますが、議員が読みやすく、短く、国民が分かりやすい文章で答弁を書き、よく知られている。「現在、鋭意検討中であります」とか「真摯に受け止めております」とか「お答えを差し控えます」みたいな常套句で論点から逃げる場合もあります。実際に検討中であるかとか真摯に受け止めているかということではなく、礼儀みたいな文章なのです。質問する方もする方で、長々と現状を説明し、”私はこう考えますが、総理はどう考えていらっしゃるのか、見解を教えていただきたい”みたいなのが多く、ひどい場合は『青年の主張』みたいになっているのもあります。

 質問する方も回答する方もこんな文章の読み合いをするだけで良いものだろうか、そういう形式化したものにおそらく30%以上の労力を割いているように見えます。確かに、政治家が肉声で読むことの意味はあると思いますし、ベテラン議員がアドリブをかまして、相手の本音を引き出すのも重要だということはよく分かります。只、今のネット情報社会の世の中で、口にしたことがすべてというのも変だし、口を滑らせたことで揚げ足をとって、やんややんやと責め立てるのもいかがなものかとも思います。

 未だに、国会内ではパソコンやタブレットが使えないのは皆さんご存じだと思いますが、聞くところによるとその理由は、「品位に欠けるため」なんだそうです。国会で議員がキーボードを打つと、そのタイピング音が一斉に響き、他人に不快感を与えるということなのだそうですが、タブレットはキー音なんかしないと思いますよ。また、もっと可笑しな理由もあります。それは「議員が仕事をしていないように見える」というのです。この理由は一体何なんだろうか。理解に苦しみます。紙をペラペラ捲ったら働いているように見えるってことなのでしょうか。時々、親指嘗めて捲っている先生もいるよな。ほんでもって、「コロナ禍では、うがい、手洗いの徹底を政府として・・・」なんて言っているからずっこけます。

パフォーマンスで時間を重ねる意味はなく、時代に合わせた議論の仕方があると思います。それでこそ、密な議論ができるというのであって、同じような質問をしたり、質問にプラスして文句や責めを入れたり、ひどいのは、大臣や総理が答えられないことを分かっているのに、「大臣、それをお約束ください」、「それは国会が決めることで、私の答えられるものではありません」と、答えを求め、それこそ真摯に答える。こんなことで、審議時間を取る必要はないと思うのです。こんなことをしているから時間がかかってしまうのです。これなら、60時間やったからって、深く議論できたとは言えないと思いますよ。

 できるなら、質疑応答はすべて先に文章をオープンにして、回答が足りていないことを更問したら良いし、大臣が答えられないことは更問しないようにしたら良い。テレビでの国会中継も大臣の答弁だけでなく、すべての想定問答を先に読めるようにし、議事録に残したら良いのではないのでしょうか。内部資料という位置付けが情報時代にふさわしくない。

 今回の衆議院本会議から、デジタル化の一貫だということで、議員名の点呼をAI音声でし始めました。事務員の労務負担を減らし、読み間違いがないようにということでそうなったようです。淡々と「○○くん」、「▽△くん」っとスピーカーから流れていましたが、そんなことがデジタル化ということではないような気がします。時間なんかでガタガタ言わないで、審議の仕方自体を改革してくださいよ。

関連記事

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。