ワークショップをやってみよう(6)

 環境点検マップによって、地域のお宝が把握されると共に、問題点も明らかになったと思います。もちろん、地図では表現できなかったものもあると思いますので、環境点検マップにすべてが反映されているとは限りませんが、参加者の誰もがここは重要と思ったものは網羅されたものと思います。まだまだ足りないと思った場合は、1回で終わる必要はありません。ここまでの過程を何度でも、参加者を変えてやってみれば良いと思います。只、あまりこればっかりやっていると、本題になかなか踏み込めず、嫌気がさしてくることは確かです。このあたりの見極めはファシリテーターや地域づくりを進めるプロデューサーがしっかりと考えないといけません。さて、それでは、前回の続きからの項目で、次のステップに進みましょう。いよいよ、アイデアを出して構想を作っていく活動に入ります。

(5)将来構想図の提案「お宝を生かした魅力ある将来構想」(ステップ4)

 将来構想づくりは、住民の自由な発想によるアイデアが生まれやすいメニューです。地域の将来構想を楽しみながら考えましょう。ファシリテーターにとっては、 住民のアイデアを引き出すための腕のみせどころです。将来構想づくりの具体的な作業としては、「シナリオの作成」 、「将来構想マップの作成」、「アクションプラン(活動計画)の作成」の3つがあります。これら3つを全て行うには、半日以上の時間を確保したいところです。時間が限られている場合は、 ワークショップの目的に応じて、これらのメニューのいずれかの組み合わせか、どれかひとつに絞って、メニューを設定します。

<時間が限られている時の作業パターン>

 将来構想は、「将来構想マップ」として、地図を用いてビジュアルに表現するのが効果的です。しかし、例えば地域の特産品開発をテーマにしたワークショップでは、 これ以外に、特産品のイメージや特産化に向けた活動計画を「シナリオ」や 「アクションプラン」として図や表で表現します。場所が重要な課題でない場合は、将来構想マップをつくらないこともあります。

1)テーマ設定

 集落環境点検ワークショップでは、それまでの現地点検や環境点検マップづくりを通じて、地域のお宝(地域資源)や課題がグループごとにある程度みえてきます。それらを絞り込んでいくことで、将来構想のテーマを設定することができます。例えば、テーマ設定の例としては、以下のようなものがあります。

 これらのテーマは、どれかひとつの要素に絞り込んだほうが、インパクトのある将来構想につながりやすくなります。また、テーマを絞りこむことで、後に述べる「将来構想マップ」の表題となるキャッチコピーもつくりやすくなります。しかし、複数のテーマを組み合わせたようなまとめ方や、テーマを無理に絞り込まず、複数の要素を分類しながら一覧にするようなまとめ方も可能です。その場合、総花的な内容になったり、行政への要望ばかりが集められた「陳情マップ」になったりする場合がありますので、注意が必要です。 なお、ワークショップの応用事例として、運営者側が予めテーマを定めたうえでワークショップを企画する場合もあります。只、大きなテーマが予め与えられている場合であっても、グループごとに出されるアイデアの視点は異なりま すので、大きなテーマを受けて、グループごとに新たなテーマを見いだすことも可能です。

2)アイデア集約

 作成した環境点検マップ(良い所や、問題点が記載されている)を参考にしながら、情報を整理します。各ポイントについて、将来構想につながるアイデアを集約します。ここはファシリテーターの腕の見せどころです。グループメンバーの一人ひとりからアイデアを付箋紙に書き出してもらい、それを模造紙または地図に貼り出し、ファシリテーターが分類、集約していくのも一つの方法です。

3)シナリオづくり

 グループごとにテーマが定まってくれば、そのテーマを掘り下げて、問題解決や構想の実現に向けた「シナリオ」をつくってみましょう。それは図や表などを用いた「シナリオシート」として表現できます。

 <シナリオシートの事例1>

 もっともよく使う例は、以下のような、視点を整理したり、どの規模での取り組みをするかをまとめたり、テーマ別に何をやるかをまとめると良いです。

 <シナリオシートの事例2>

 具体的なテーマを決めてそれに向けての課題をまとめていく方法もよくとられます。このように定型を設けてシナリオシートをつくる場合もありますが、通常のワークショップでは、グループごとにアイデアが出てきた段階で、模造紙上に分類・整理し、自由 な書式でシナリオシートをつくります。

4)将来構想マップを作成する

①将来構想コンセプトを作成

 シナリオシートは、様々なアイデアをテーマごとに整理する作業ですが、これら全てを将来構想マップに入れるわけにはいきません。シナリオシートの中から、中心となるテーマやその繋がりをストーリー化してコンセプトを考えます。下の例では、「楽しい人の暮らしを繋ぐ千年水路」という暮らしにかかわる水路づくりのコンセプトに沿った実現しやすいアイデアをワークショップで出し合いました。また、それを実現す目た目には短期的、長期的に何をしたら良いかを考えました。「商店街と連動したせせらぎ水路の整備」「水路周辺で朝一をする」といったようなアイデアが出ました。

②将来構想マップを作成

 <将来構想マップの事例1>

 この図は、左側がワークショップ当日に作成された将来構想マップです。これをコーディネイターが持ち帰り、後日、右側の図のように整理し、地図化しました。写真は、現地点検で住民が撮影したものを用いています。また、当日は時間が限られていたため、住民がイラストをつくることができませんでしたが、アイデアがイメージと して伝わりやすいように、イラストをつくって地図に貼りました。

 <将来構想マップの事例2:環境点検マップと将来構想マップ>

 上のマップは、左が「環境点検マップ」、右が「将来構想マップ」です。これらは、ワークショップ手法を学びに来た人たちが、2日間に渡って十分な時間をかけてつくったものです。2つのマップはデザインが統一され、点検内容と将来構想が対比できるようになっています。挿絵や現況の写真を貼りながら、これらを今度どのようにしたいのかを、シナリオシートを参考にマップ に書き込んでいます。地図にコメントを直接書き込んでもよいですし、付箋紙に書き出してマップに貼り付けても構いません。

5)アクションプラン(活動計画)を作成する

 アクションプラン(活動計画)は、出された将来構想のアイデアを実現するための行程をまとめるものです。基本的なつくり方としては、今後の対応策を、達成時 期、活動主体の2軸から整理します。一般的には、下記に示す2軸のマトリックス表が活用されています。

 上の表はあくまでも例です。1軸(横軸)の「短期的計画-中期的計画-長期的計画」も、時間のスパンを具体的に定めたり、短くしたり、長くしたりすることもできます。また、地域によっては、2軸(縦軸)は「個人-集落-行政」ではなく、「土地改良区、営農組合、子供会・婦人会」など、様々なセクターが入ってくることも考えられます。

(6) 発表準備、発表、そして終了 (ステップ5)

1)発表する

 ワークショップの締めくくりとして、発表会をしましょう。全員で作り上げたものをより多くの人たちに知ってもらうことは大変重要です。また、完成した成果を地域の人が集まる場所に掲示して見てもらったり、後日に機会をもうけ、是非、ワークショップに参加できなかった人たちに集まってもらい、発表会をするのもよいです。2日間にわけてワークショップを行う場合、1日目に行う環境点検が終わった後にも、必ず発表を行うようにしましょう。発表は、その日のグループごとの成果の要 点をまとめ、それを全員で共有する重要な意味をもちます。発表会の準備や進め方については、次のことを参考に進めてみてください。

2)発表用シナリオの作成

 グループごとに「環境点検マップ」、「将来構想」を中心に全体作業の成果を発表します。発表時間は「1グループ15分程度」がよいと思われます。グループ数が多く、時間の制約がある場合には、「5~10分程度」で行うこともあります。また、15分程度と限られた時間の中では、せっかく良い成果であっても発表内容 がわかりにくいと、グループの想いが伝わりません。そのためには、発表用のシナリオを作成するとよいでしょう。ただし、発表用シナリオづくりには、ある程度時間が必要ですので、時間の制約がある場合には、プレゼンテーションの練習も含めて省略し、グループで作成した環境点検マップや将来構想の特徴、あるいは感想などを簡潔に発表するようにしましょう。

 <発表用シナリオづくりのポイント>

3)プレゼンテーションの練習

 シナリオ(台本)ができれば、グループで読み合わせをしましょう。また、シナリオはあっても、読むのではなく自分の言葉ではっきりと言いましょう。シナリオはあくまでも言いたいポイントを時間内で明確化するために作るものです。グループで何度か練習して、台本なしで言えるようになれば最高です。時間に余裕があれば、プレゼンテーションの練習に取り組みましょう。

4)発表

 グループ毎に、全ての作業の成果を発表しましょう。発表は、「環境点検マップ」、「将来構想」を中心に、分かりやすく、個性的に行いましょう。

5)感想

 通常であれば、アンケートなどで感想を記述してもらいますが、時間があれば1グループに20分程度の持ち時間を与えて、1人1人に一言ずつ発表してもらう方法もよいでしょう。

(7)閉会(主催者から閉会の挨拶、そして総括)から解散

 自分の経験則から得られる気づきが地域資源のすばらしさを発見し、適正な環境を形成していくと言うのがワークショップの醍醐味です。ですから、これまで方法をいっぱい紹介してきましたが、ハィ、今すべて忘れていただいて、何をすれば地域の環境から気づきを得られるのかを考えてみてください。そうして生まれた方法が、あなたの地域のあなたの方法になるのです。

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