新型コロナウイルスの問題、たいへんなことになってきましたね。

 読者と会員の皆さんは、健やかにお過ごしですか。新型コロナウィルスではなくても、インフルエンザや風邪などにかかっていらっしゃったりはしていませんか。是非、「うがい」、「手洗い」、「マスク着用」を徹底していただいて、最大限の予防で乗り切ってもらいたいと思います。

 毎日のように、感染者が増え、全国に広がり、さらに、クルーズ船での対応に苦慮した政府は、四方八方から批判を受ける毎日であります。特に、検査体制の遅れは大問題になっていて、ようやく保険適用も出そうですが、厚生労働省の担当官僚の皆さんも、悲痛な思いの中、現場対応、調査分析、調整合意に忙しい毎日を送られていることと存じます。

 何人かの官僚が感染したという報道も出て、ニュース番組などではコメンテーターが「担当職員が感染するなんて管理がずさんだ」などと批判しています。確かにそういう側面もあるのでしょうが、あの環境下、連日連夜の対応で、なかなかそうもいかないところもあるのではないでしょうか。現場に行かない人が簡単に当事者を批判することはできないと思います。

 私は、農研機構農村工学研究部門での幹部時代、地震や洪水時には、夜も昼もなく研究所に詰め、現場から送られてくる情報を専門の職員に整理してもらい、状況を分析するとともに、刻々と変化する現場に対応し、二次災害の回避のため、本省からの要請に基づき、現場に研究者を派遣しました。分野が分野なもので、現場から送られて来る多くの危険性の高い検体を検査するということはありませんでしたが、鳥インフルエンザや口蹄疫などの動物伝染病に対応していた動物衛生研究部門の研究職員は、一度感染が明らかになると、尋常ではない忙しさの中、時間との戦いをしていたのを知っています。検査機関がおそらくは人間対象に比べ少ないということもあるでしょうし、施設の規模が小さいということもあったのでしょうが、職員の皆さんは、身を削って現場に対応していました。いつも横で見ながら、公僕の中の公僕だなぁとたいへん感心していました。

 ですから、新型コロナウイルス対策などは、更にそれ以上のてんやわんやになっているのでしょう。そのことを考えると、「どうなっているんだ」と批判するも、その一方では、専門家と研究者と政治家がそれぞれの立場で、危機管理として最善を尽くしているはずなので、「ご苦労様」「がんばってください」とエールも送りたい。

 おそらくは、どんなに高いリスク対策をしていたとしても、そのリスクを超えたリスクというものは存在するのであって、想定外という言葉はリスク管理からは「逃げ」にしかならない。だから政治決断というものがあるのですが、どうも最近の政治決断は、専門家丸投げにも拘わらず、良いとこ取りだけをしているように見える。政治家が勉強しているように見えないのだ。確かに、専門的知見の総合化によって判断するしかないし、責任の所在問題もあるので、最後は大臣級の自信を持った一声が、例え間違っていたとしても必要ということなのだが、勉強していないから、正確な総合化に至らないのではないかと思う。また、現場で発生する問題も、過去のものより複雑な事案が多く、多様な回答のまま進まざるを得ないことも多いので、中央政府に一つだけの決断を迫ることには無理がある。

 それではどうするのか。我々日本人は経験があるではないか。

 あれだけ広域で数十万人もの被害を受けた東日本大震災においては、早々に市町村、都道府県にある程度の権限を委譲して、自立分散的なガバナンスを発動して対応したではないか。

 この情報過剰時代に、中央にすべての情報を集めたって碌なことはない。それこそAIでもない限り(先の話だが)、錯綜したデータの山に押しつぶされ、頼りとなる専門家や研究者は意見が分かれ、情報をしっかりと読み切れない中央政治家は、目を引く特定のデータに囚われて、正しい判断ができない。そして、会議と調整の積み重ねで時間だけが過ぎていく。

 政府がやるべきは、細かい指示ではなく大きな方向性を示し、正しい情報を持っている現場に采配を移譲し、現場の力を信じることではないのか、首長は変なリーダーシップを発揮せず、安心感のある言葉を投げかけることではないのか。

「事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!」

 は、大ヒットした映画「踊る大捜査線 THE MOVIE」(1998年)の名セリフだ。現場にいる織田裕二演じる青島刑事が、遠く離れた警視庁の会議室で、ああでもないこうでもないと幹部が議論し、それぞれが担う部署間のテリトリー争いもあって、明確な指示を出せない時に、現場の犯人を取り逃がしそうになって、イライラして放った言葉だ。

 現場にはたくさんの医師もいる、政治的判断ができる知事や市町村長がいる、役人もいるし、そして何よりも、今の時代は、住民も多くの知識を持ち、自己防衛もできる。日頃のコミュニティが機能するなら、共助も互助も発動する。インフォデミック(根拠のない情報の広範囲にわたる拡散し、社会が混乱を招くこと)を政治的指導で取り除き、正確で隠さず、バックデータも含めた根拠付きの分かりやすい情報提供ができれば、現場は現場でそれぞれのリスクと戦っていけることがあるのではないのだろうか。中央集権的なやり方で、政府が指示を出すまで待つやり方は本当に今の時代にふさわしいやり方なのだろうか。

※2月26日の原稿でしたが、ようやく上記の方向で動き出したところもありますね。

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