令和5年度に向けて

 2022年2月24日に始まったロシア軍のウクライナ侵攻は、その後激しさを増し、1年が過ぎた今となっても終結する気配が見られません。どうしてこんな無残なことを人間どうしでやらなければならないのだろうかと、遣る瀬無いが、全世界の人々のそんな思いをよそに、戦争は寧ろ、悪化、泥沼化しています。侵攻前まで、普通の幸福な毎日を送っていたウクライナ国民の心の安寧を早く取り戻してあげたいものです。

 3年間世界で猛威を振るった新型コロナウイルスがようやく終息に向かい、経済活動も少しずつ平常に戻りつつあったにも関わらず、今度は世界の一地域で起こっている戦争で、世界中が翻弄され、世界情勢はまた、キナ臭く、混沌としたものになっています。

 第二次世界大戦や湾岸戦争時とは違い、世界は一つの情報・経済社会であることがよく分かった1年でした。ウクライナは日本にとって決して遠い国ではないのです。侵攻しているロシアは日本の隣国であるし、ウクライナは「ヨーロッパの穀倉」とも言われるほど農業が盛んで、この穀倉が滞れば、ヨーロッパをはじめとして、食糧自給率の低い日本などは回り廻って大きな影響を受けることになります。すでに、ウクライナ国民の幸せを取り戻してあげたいなどと他人事のように言ってしまってはいけない問題に突入しているのだろうと思います。

 「対岸の火事」という言葉は、この世界にはもう存在しないのです。でも、だからと言ってウクライナ国民の幸せに向けて何か支援ができるのだろうかと考えると、それもままならない。

 難民の受け入れ拡大への支援もできるだろうし、現況下での経済的な援助もできるだろうし、戦争後の復興支援もウクライナの問題を他人事にしない方法ではありますが、それは国としての支援であって、日本国民ひとり一人は何をすることで他人事にしないようにできるのだろうかと考えてみる。

 そうすると、寄付は一つの寄り添いにはなるが、それは一時的なものにすぎない。より深く考えていくと、結論としては、やはり日本自体が強い国になることしかないのである。強い国というと、戦力強化をするのかというとそうではない。腕力の強い国でもないし、経済的に優位な国ということでもなく、日本国の社会構造が強い国になることである。それには自由と民主に責任を持てる強さも含むだろう。

 そして、研究会して声高らかに宣言したいのは、『人口減少下における日本の農村の健全性を取り戻すこと』である。ウクライナの人々のその日その日をどう暮らしていくかということと比べると、その深刻さは雲泥の差があるし、遊びみたいに聞こえるかもしれないが、いやそうではない。食料自給力を上げるための農業改革と生産地を支え、豊かな自然を保全し、安心して暮らせる農村を強くすることは、回り廻ってウクライナ問題を対岸の火事にしない一つの方法になると私は思うのです。

 資源がない国だからこそ、産業構造の強い国とすることで、資源のある国に首根っこを押さえ込まれず、世界に物申せるのであって、そういう力を養うことは日本国民が対岸で在らぬ方向を向かない国となることそのものである。

 今日、明日、ウクライナ国民に寄り添うことも大切だが、それができないし、遠く離れた農村に住んでいるなら、国民の一員として地域の農業と農村について真剣に考えて、強い日本になるための役割を果たせば良いのではないだろうか。

 それほど農村づくりは重要な取り組みであることを、地域リーダーの皆様、農村集落住民の皆様、当研究会会員の皆様は心に刻みながら取り組んで頂きたいと思います。

 農村づくり・ICT支援研究会の運営も4年目が終わりました。本稿末で公表する令和4年度会計報告を以って会計を締めて、5年目に入ることにします。

 4年度は、新規会員は昨年より1名増で、20名となりました。只々、会員の皆様の暖かいご支援と深いご厚情を以って、なんとか乗り切ることができた次第です。改めて感謝申し上げます。

 4年度は、コロナも少し下火となり、8月までは講習会や研修会で動けましたが、8月末に私の自己管理の甘さから肩を複雑骨折して、11日間の入院、リハビリ生活となり、2ヵ月ほどは自由に動けなくなりました。「言わせてもらえば」の投稿もしばらく滞り、たいへんご迷惑をおかけしました。

 結局は、本日のものを入れて年間47編となりました。昨年ホームページを刷新してから半分ほどに低下していたPVは完全に回復し、読者は増えつつあります。たいしたことは喋っていないのですが、とりあえず5年度も、時事の話題を取り込みながら、農村づくり、ICT導入支援に関する記事を充実して参りたいと思います。会員の皆様からはICT関係や多面的機能に関する記事を増やして欲しいとの要望もありましたので、今年度はその関係の記事を増やしていきたいと思います。また、ゲスト記事も2年度以降増えていませんので、今年は頃合いを見てゲスト記事をお願いしようと思います。

 私の前立腺癌のマーカー値は落ち着いているものの、薬の5年間継続のためか、体調の悪い日も増えてきました。また、骨折については、リハビリがうまく進んでおらず、右腕もまだ十分に動きませんが、令和5年度も、全力で会員の皆様並びに農村づくり、農業・農村のICT化を進めておられる方々のお手伝いをしてまいりたいと思いますので、引き続き、農村づくり・ICT支援研究会をよろしくお願いいたします。

令和4年度会計報告

 農村づくり・ICT支援研究会の令和4年度の会計報告を致します。これは、会則第9条「会長は年度末に、年度の会計報告をホームページにおいて公開する。」によるものです。なお、令和4年度は2022/4/1~2023/3/31が会計期間となります。

 先ず、会費でありますが、おかげさまで、研究会の会員数は今年度1年間で20名となりました。只々、会の趣旨に賛同いただき、ご支援いただけたことを心から感謝いたします。

 会計は、研究会の運営に関わる「研究会一般会計」と多面ソフト「楽ちん多面」や技術普及等に関わる「楽ちん多面等ソフト普及会計」に分かれます。

 下記表にありますように、研究会一般会計における収入は、会費を充てさせていただきました。支出は、広報用の印刷物、ネット環境の整備に充てました。昨年よりも繰越金は減り、43,463円となっていますが、一番大きく響いたのは、ホームページの作成と保守が一件終了したことで収入が減ったことです。ただ、ネット環境整備は昨年重点化したので、今年は昨年の半分以下に支出を抑えることができました。

 また、楽ちん多面等ソフト普及会計における収入は、「楽ちん多面」の販売促進に関する作業費として昨年の1.6倍となり、1,563,320円ありました。支出については、役員費の処理、源泉徴収票への対応の改良をしたため、ソフトの開発費は457,600円と2倍に膨らみましたが、ソフト的には完全無欠になりました。令和5年度は今期最終年度となりますが、電子申請への対応なども不確かな要素があるので、改良費積み立てとしては550,037円を計上しました。

 楽ちん多面等ソフト普及会計は、最低限の経費については支出しておりますが、基本全額楽ちん多面の普及に利用しますので、研究会としての収入は4年度も3年度同様0円とさせていただきました。

 以上、第7条規定により、副会長による監査を以って、令和4年度会計報告とします。

関連記事

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。