年賀状じまい

 確かに22円の値上げは大きい。はがきの値段が今年10月に63円から85円になりました。日常的にはがきを使わないので、それほど気にはなっていなかったのですが、さぁ、今年も年賀状を書こうとなったとたん、えっ、こんなに高くなったのかとなります。私は150枚準備するので、はがき代だけでも、昨年より3,300円高くなって12,750円になってしまいました。

 それに加え、プリンターのインクカートリッジの価格も上がっています。6色セットの増量タイプを買ったりすると、純正なら7,000円ぐらいして、これって前は5,000円ぐらいじゃなかったっけと、何かものすごく出費した気分になります。以前は、互換品なども使っていましたが、ノズルの目詰まりなどを起こしやすいので、最近は純正品を使うことにしていますが、そのリスクを負ってでも安いのを買うかなと、考え込んでしまうほどの値上がりです。

 電気屋さんのインクカートリッジ売り場で、固まって長いこと考え込んでいたら、店員さんに、このジジイ分かってるのかと思われたようで、「プリンターはどの機種か分かりますか」と質問されてしまいました。心の中で、”それは分かっているんだ。買うべきか買わざるべきか、それが問題だ”と叫びたくなりました。そのままハムレットのコスプレで、永田町界隈を、『To be, or not to be: that is the Soaring prices(生きるべきか死ぬべきか、それが物価高騰だ)』のプラカードを持って行進するか。

 兎に角、遊び盛りの年寄にとって、年金暮らしはきつ過ぎます。今年流行っている『年賀状じまい』、本当に考えた方がいいかもってなりました。でも、これもなかなか踏み切れないものがあります。遠くに住んでいる人、過去にお世話になった人だけれど自分の人生にとって忘れてはいけない人もいますし、顔を忘れてしまった親戚筋、そうそう会う機会はないので今はもう年賀状だけしかやり取りしていない人たちもいます。そういう人たちとは、一年一度、今年も元気でやっているかどうかを確かめる唯一の手段が年賀状である訳で、それに、はがき1枚85円、印刷費合わせて100円程度払うのが高いのかどうかと考えると、そこをケチってはいかんだろうと思います。元旦に、年賀状が届くと、「今年もまた、お互い元気でがんばりましょうね」とか、「まだ生きてるぜ、お前も生きろよ」という声が聞こえてくるようで、良かった良かったと胸をなでおろします。この安堵にかけた金額が100円だと思えば、これはこれでかなり安いようにも思います。

 メディア情報によれば、『年賀状じまい』の理由で多いのは、手間がかかることやメールやSNSなど電子的な手段で十分な時代となったこと、終活に向けた人間関係の整理などであるそうですが、私の場合、手間がかかるについては、今のところ手も足も動くし、時間はたっぷりあるので、これには該当しない。メールやSNSは私も使っていますが、それは150枚を超えた方たちへの対応で、すでに使っており、ちょっと若めで、ICTに慣れている人向けです。また、終活を理由にすると、後数年で死なないといけなくなりそうで、早すぎる。そんなに早く死にたくないし、今、私が終活で『年賀状じまい』してしまうと、私より目上の方に顔向けできない。がんの病状を楯にとって、「もう疲れましたので年賀状止めちゃいます」と言っちゃいたいところもありますが、それはそれで、病気に負けたみたいで、そんな泣き言も言いたくない。

 全員がメールやSNSでの年始の挨拶を受け取ってもらえるようになればいいのになぁと思いますが、元旦にはがきが届くということ、一枚一枚捲り、誰から来た年賀状かと確認すること、「相変わらず汚い字だなぁ」とか、「こいつまた、孫自慢かよ」とか文句を言いながら、自分は出しただろうかと心配になる。よく分からないが、このアナログに意味があるような気もします。ということで、手足が動くまでは『年賀状じまい』は封印しようと思っています。

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