トランプ

 1月21日、アメリカの第47代大統領に共和党のドナルド・トランプ氏が就任しました。皆さんも、ニュースで何度も見られたとは思いますが、就任演説では最初に”米国の黄金時代が今、始まる。今日この日から、わが国は再び繁栄し、世界中で尊敬されるようになる。我々はあらゆる国の羨望の的となり、これ以上利用されることを許さない。トランプ政権の一日一日、私は極めて単純に米国第一を考える。”と言い放ちました。

 言っていることの良し悪しは別として、淑やかさのまったくない傲慢な言いようには脱帽します(もちろん皮肉)。他国との協調を前提とするならば、米国第一主義と言うのは当たり前のことで、日本の国もどこの国も、国のトップは国益第一で考えています。重要なのは「羨望」、「尊敬」というプライドをよくもまぁ平気で言えたものです。世界中で尊敬されること、羨望の的となることが、今の時代、国にとって大事なことなのだろうか。例えそうだとしても、自分から言う事ではない、こういうことは、行動が伴うことによって他の人に自然と羨望され、尊敬されるのであって、自分で言うと、それは寧ろ疎まれることになります。ここの価値観からもうすでに、民主主義に忠実で、品行方正な人権派、リベラル派の人にとっては、まったく相いれないのだろうと思います。

 一つの国が生きていくためには、確かに国としてのスローガンが必要ですし、それを政策として実現するためのストーリーも必要だと思います。それが極端な志向になっていることも当然あり得ます。それが恐怖政治によるものであってもです。そうでないと、国民をまとめることができませんからね。

 日本の首相でも、将来どんな日本にしていきたいのかというスローガンはあります。言葉に弱さはありますし、意味がなんとなく曖昧ではありますが、安倍さんなら『美しい日本』、石破さんは『楽しい日本』ということになります。

 そこにトランプ大統領のスローガンを並べて比べてみると、トランプ大統領のスローガンは極めて明瞭だと思います。アメリカの利益になることしかやらない、米国ファーストでいきますということなので、国民は単純に、それはありがたいことだ、この人に任せ、ついて行かなければ生活できなくなると感じるのは当然です。選挙では半数が民主党押しでしたが、トランプになってしまったらもう仕方ない。イデオロギーよりも、得か損かで考えるとついて行くしかないかとなる訳ですよね。ザッカーバーグさんも、ぺゾスさんも、クックさんも、ピチャイさんも右へ倣えってことですよね。

 今回のトランプ氏の勝利については、専門家や評論家たちが、アメリカ人の多くがリベラルに飽き飽きしてきたからだとか、トランプがボピュリズムを煽ったからだと言っていますが、私が考える理由はもっと簡単なことです。単に、リベラル派のエリートな物言いが難しいため頭に入って来ないので、簡単なことだけ考えよう。それが一番儲かるし、生活しやすいならそれでいいのではないか。そして、そこに閉塞感からの解放があるかもしれないと言う期待。それだけではなかろうかと思います。ようするに、国民みんなが勉強嫌いになっているのか、勉強疲れしているのか、国を憂える志士となっていつまでも頭を抱えてられないってことですよ。きっと。

 だから、トランプ氏になって多様性が否定されたということではないように思います。トランプの言う排他主義もトランスジェンダーの否定やエネルギー開発志向も、多様性に向かう中での反動に過ぎないからです。情報化社会の進展において、国民の脳が疲れてバカになってきたので、トランプ氏が政権を担っている間は、脳を休める一番簡単な法則で行くよということなのだと思います。「それじゃあ地球が滅びるよ、人類が滅亡するよ」と言われても、政治ですから、それが良い方向に繋がるか悪い方向に繋がるかは、歴史となって初めて評価されます。それじゃ遅いと言うのか、まだまだその反動を期待しても大丈夫と言うのか、それもまた多様性なのではないでしょうか。多様性は時空間を超えて形成されていくことも考えておかないといけません。

 ただここで一つ大切なことは、脳を休めている間に、情報過多の社会、AI先導の社会下においての教育をどう構築しなおすかです。トランプ氏は教育省の廃止や公的教育からの脱却の政策を出しているようですが、大切なのは教育システムや経費の問題ではなく、考え抜ける人間、幸せのバランスを模索できる人間をつくれる『人間教育革命』を起こすことではないでしょうか。まぁ、トランプなんだから、出せるカードは多いんでしょう。ジョーカーばかり出されては困るので、奥の手のカードもしっかり出して欲しいものです。

※綺麗に花を咲かせるためには、養生期間も大切です。一面のコキア、ネモフィラで有名なひたち海浜公園も冬場は寂しく、土壌休養で備えている。

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