次世代農業EXPOへ行ってきた

 去る10月14日~16日にかけて、千葉県の幕張メッセで、農業ウイーク2020のイベントとして、次世代農業EXPOをはじめとする農業関係の展示会が開催されました。

 まだ、多くのイベントが自粛の中、経済活動に関わるものは、少し勇み足のようにも思いますが、日本最大の農業・食品に関する総合展示会ということで、農業法人、畜産農家、農協、農業への参入検討企業等が多数来場し、出展企業と活発な商談が行われました。

 人が集まるところに行くのは、少し気が引けたのですが、新しい技術に関する情報を仕入れ、読者や会員の皆さんに、技術の現状を知ってもらうことは大切かなと思い、15日に、研究会の技術スタッフでもある、株式会社クロノステック社長の友松貴志さんと一緒に会場に足を運びました。

 私は、現役時代は、こういう技術関係のイベントは農業関係だけではなく、ICT全般、毎年のように行っておりましたが、今年度はどこにも行っておらず、これが初めての展示会への参加となりました。次世代農業EXPO以外に、農業資材・畜産資材EXPO、6次産業化EXPOなどもやっていましたが、コロナ禍も関係するのでしょうが、天気も悪く、昨年までのようなごった返しはありませんでした。それでも、やはり人が集まるところでしたので、ソーシャルディスタンスが十分に取れている状況ではなかったので、次世代農業EXPOだけを2時間だけ見てきました。

 読者の皆様は、施設園芸、農業機械、肥料・土壌改良材、農薬、包装・物流製品、鳥獣害対策資材などの情報が知りたいので、農業資材EXPOの方を取材してくればよかったかもしれませんが、今回は、IT農業、植物工場、ドローンなど、農業経営を強くするための次世代の技術や製品を見てきました。

 会場に入って、ざっと一周回って感じたのは、技術そのものよりも、農業参入、就農支援においての技術とサービスまるごと売りが多かったことです。数年前までは、農業生産の省力化や品質向上を目指した個別技術のプロトタイプが中心でしたが、今は、個別技術だけではなく、コンサルティングも含んだハードとソフトの組み合わせとプラットフォームによるトータルサービスを売る会社が多くなっているように思いました。この辺りは、クボタのKSASやFUJITSUのAKISAIの流れではないかと思う。

 また、いくつかの県が農業参入のブースを持っており、それぞれが参入にあたっての特徴、特典と言った方がいいかもしれませんが、そういうものをアピールしていたようですが、こちらの方はそれほど際立っての来場者はいなかったように思います。出展した県の皆さんの手ごたえはどうだったのでしょうか。

 次に目立ったのは、植物工場の環境制御、病害虫管理、LED技術関係ですが、こちらも、個別技術ではなく、プラント紹介が中心でした。気軽に一セット買ったら、ビルの空いた一室でもすぐに生産環境が作れて、それなりに農業参入できるような感じでした。一昔前は、生産工場というイメージもあり、まだ農村という空間に引っ張られていましたが、今は寧ろ、経済後退後の都市部の空室の有効利用で、機能性野菜を作って、都会のレストランだけ消費者ターゲットにした半農半IT事業がやれそうだ。制御や指導もクラウドで行うので、栽培ノウハウ0でもなんとかなるということなのだろうか。

 後、もう一つ以前と違うと感じたのは、どんな技術についても、低コスト化が図られているということでした。モノによって異なりますが、コストダウンについてはそうとう企業努力がされていました。ただ、これも、Society5.0社会の実現に向けて、センサー類の利用場所と生産量が増え、コストが落ちている面もあるのかもしれない。

 考えてみれば、最新のAppleWatch(アップルウォッチ: 腕時計型ウェアラブルコンピュータのこと)には、血中酸素濃度や心電図が測定できるセンサーが付いていて、腕にはめるだけで、健康管理ができるようになっています。私も研究で、かつて血中酸素濃度を測ったことがありますが、昔は相当高い測定器でしたが、今は5~6万で誰でも腕に着けることができるようになりました。企業努力というよりは、社会がIoTの方向に動いたことによって、センサーなどのIT関係資材のコストが下がっているということなのかもしれません。

 その後、ドローンやソーラー関連を横目で見ながら進んでいったが、最後に目についたのは、水管理用の自動バルブやゲート機器の展示でした。これも、前回と比べて出展が増えてきたように感じました。水管理システムはそれなりの農業経営規模または水がかりの規模がなければ、なかなか経済的効果を得られないもので、コストと省力の天秤のバランスが難しいところですが、それなりに価格が安ければ、規模の小さい農家でも、見回り労力を省くのに、導入したいと思う代物ではあります。各社それなりの工夫をしてはいますが、特徴的にはそれほど大きな違いは無く、「このシステムは他社さんと比べてどこが売りですか」と聞いてもあまりそそられるような回答は聞けませんでした。よって、結局は価格が最も気になるところとなりました。数年前は、安いものでも一台十数万円ということで、便利グッズとするには高すぎましたが、今回見てみると、10万円以上の物もいくつかあり、5万円以下となってるものも出てきていました。

 展示場では緑や青色の綺麗な水を使って開閉をしているので、支障なくスムーズに動いていのしたが、現実的には藁くずが流れてきたり、場合によってはビニール辺も紛れ込むかもしれない。また、用水パイプ内は綺麗な水だったとしても、土砂は給水口の水槽で溜まってくるかもしれないので、メンテナンスにおいて少し不安があるものの、5万円以下なら便利グッズとして使えるかもしれない。また、1万8千円の超音波式の水位計を展示しているところもありました。

 リースやレンタルプランを出しているメーカーもあったので、先ずは使ってみることかもしれない。クラウドでデータ管理となってくると、一連のサービスも含まれるので、少し高くなっているとか、通信ネットワークが限定されていて、今はどこでも使えないとか、「帯に短し、襷に長し」で、なかなかピタッと来るものは無かったが、もう一歩という感じはした。

 小規模農家ではICTは必要ないという方はたくさんいらっしゃいます。大規模の農業に対する技術開発は放っておいても進んでいき、淘汰され、必ずメジャーなシステムが現れてきますが、小規模農家の身の丈に合うような技術はそうそうメジャーにはならないし、もし、そんなものができたとしても、「パソコンでごちゃごちゃ触っている内に、現場へ見に行った方が早いんじゃない」ってことになりかねません。

 でも、それはマスマーケッティングによる製品に限定されていて、大規模対応技術を無理やり低価格にして消費者層を拡大しようとしているから、ピタッとこないのであって、これからはみんなで開発した小さな技術をみんなでデジタルデータとして共有することで、手づくりのICT資材を自分サイズでカスタマイズするオープンデータによるデジタル・ファブリケーション(3Dプリンター等のデジタル工作機械をつないだ製造)とそれが成長したマスカスタマイズがICTの一つの形になっていくと考えます。

 小規模ではICTは必要ないということではなく、技術コストが高いから導入できないということでもなく、まだ、農業分野へ参入するICT企業が、マスマーケッティングとコンサルティングサービスの域から脱していないこと、それが最大のネックなんじゃないのと思いました。

自動給水ゲートと水位センサー類(ゲートの構造は各社それほど違いはないが水位計はフロートタイプから超音波式と各種あった)

※文頭写真は、SIST庄内と株式会社SGの米作用の栽培管理アプリ「RiceLog」

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