
集落の環境整備について考える視点(5)
5.地域独自のストーリーづくりを
環境整備とは、新しい空間を生成することでなく、長い歴史を通して形成されてきた空間や環境を如何に生かすか、すなわち環境ストック(地域の環境資源)をいかに保全するのか、いかに再生するのかということも重要な内容として位置づけられるべきものです。つまり、環境は以下に示すごとく人間と自然との競合と調和の歴史の結果として捉えるべきです。 環境=f(人間、自然、時間) こうした考えのもとで環境を捉えてみると、例えば人間のライフサイクルの中で地域を構成する各年代の成長過程をそれまで育った環境との関わりの中で捉え直すことで、地域の今後を展望することも可能となるでしょう。 また、ライフサイクルとまでいかなくとも季節毎の環境の変化を生活行動と合わせてみてみることなどストーリー立てて考えることは環境の意味を生活との関連のもとで理解するためには重要なことでしょう。 そして、それらを押し進めることで、これまでの環境との間の「ひずみ」に気付くことになり、その修正を意図し、また今後を展望したストーリーが描けることとなります。 環境ストックを点、線、面としてのみとらえることなく、空間機能の多目的性と複合性、地域固有の景観、自然とのかかわり、歴史・文化のかかわり、主体とのかかわりといった視点から、体系的に整理することは極めて意義のあることと言えます。
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