DOMOTO

 妻がキンキキッズのファンであることは結婚する前から良く知っていました。彼女の部屋の壁には一面に光一くんの写真が張られていて、熱狂的なファンだったと思います。ただ、ファンクラブに入っていた訳でもなく、若い時は仕事が忙しくて、コンサートに足を運んだこともないらしい。所謂、隠れファンという奴だったのでしょう。今でも、テレビの歌番組に久しぶりに彼らが出る時は事前にチェックしていますし、ほぼ一年に1回の彼らの冠番組である『堂本兄弟』は絶対に欠かさず見ています。

 実は、私もこの歳になって言うのは恥ずかしいものがありますが、キンキキッズの大ファンです。光一くんがとか、剛くんがと言うのではなく、楽曲のファンです。デビュー曲である『ガラスの少年』以来聴き続けていて、ほとんどのヒット曲を知っています。また、二人にはドラマでも楽しませてもらいました。有名なのは、剛くんが主役だった「じっちゃんの名にかけて!」のセリフが決まっている『金田一少年の事件簿』ですが、『人間・失格』や『若葉のころ』なんかも未だにいくつものシーンを覚えています。

 でも、男性アイドルのコンサートに行くのは気が引けますし、キャーキャーと騒ぐ女性の中にポツンと一人なんて耐えられないので、CDやテレビでのファンに留まっていました。

 ところが、今、好きなことをして遊んでいる中で、若い時に行けなかったファンのコンサートに行ける時間もできたものですから、妻と一緒に行こうぜということになりまして、ようやく、先週の日曜日長年の念願が叶い、東京ドーム公演へ二人で行くことができました。

 フェスやJロックのアーティストのコンサートはこれまでにかなり行きましたが、男性アイドルの単独コンサートというのは初めてでしたのでどんなのだろうとワクワクしました。まぁ、なんのことはない、おばさんだらけなんですけれどね。妻に言わせると、「光一くんもすでに46歳、ファンも20年以上経って、おばさんばかりだから大丈夫」って言う事でした。

 いゃー驚きました。東京ドーム5万5千人超満員でした。スタンドの2階の端っこまで全部埋まっているじゃないですか。幕が開く前からコンサート用のペンライトの赤と青が光って揺れていますが、案外みんな上品です。いくつかコンサートに行くと分かってきますが、アーティスト毎にファン層、気質、柄、民度というのは絶対にありますね。キンキキッズの場合、声を出す人がほとんどいないし、スマホで写真撮っている人も見かけません。実に静かなんです。かといって盛り上がっていないかと言うとそうじゃない。上品に笑い、上品にライトを振ることで十分盛り上がっている。こんな楽しみ方もあるんですね。

 幕が開くと、『ガラスの少年』で始まり、『愛されるより愛したい』、『僕の背中には羽がある』と聞きたかった曲をいきなり3連発、その後も約3時間、ムービングステージで移動したり、リフターで高く上がったり、LED付きトロッコで会場を巡り、若いアイドルさながらで動き回ります。さすがにエンターティメントはよく鍛えています。途中軽いノリの喋り過ぎMCを75分も入れながら、アンコールの『フラワー』まできっちり歌ってくれました。『全部抱きしめて』が入っていなかったのが残念でしたが、『ジェットコースター・ロマンス』は歌ったので良しとしましょう。

 あの二人は、歌うアイドルというよりは、漫才するアイドルと言った方が良いのかなぁ。MCが面白過ぎますね。こんなに笑ったコンサートは初めてです。光一くんが、『Kissからはじまるミステリー』について、バックダンサーをやってくれている『ふぉ~ゆ~』のメンバーに「君らコンサートで自分らの曲みたいに歌っているけど、あれはキンキキッズの曲だからね。金田一少年のドラマの曲だからね」、「剛くんは初代はじめちゃんだし」みたいなことを言って、「剛くんやってよ、もうじいさんになったから、”じっちゃんの名にかけて”じゃなくて、”じっちゃんになりかけて”だけど」と言ったら、剛くんが人差し指を会場に向けて、「俺が必ず謎を解いてみせる、じっちゃんになりかけて」と落としました。過去ネタなのか、台本があったのかなかったのかは知りませんが、笑点よりもねづっちよりも整っていましたね。こんなことぐらいで楽しめて、しっかり笑えて、隣に妻がいるって、私は幸せだなぁと改めて思いました。そう言えば、もうすっかりおじさんなのに『キンキキッズ』もないだろうと思っていたら、もうすぐ『DOMOTO』に改名するんだそうです。じっちゃんになってしまった私がまだまだじっちゃんになりかけてもいないキンキキッズとしての最終ライブに行ってきたお話でした。

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