ゼロはじ 「第28回 Excel(エクセル)でグラフを作ってみる」

 いよいよ、Excelの使い方の最終回となります。今回は、グラフを作ってみましょう。グラフを作ることで、現状の分析ができ、将来予測が推定されたり、方針を検討したりすることもできます。ただ、グラフにもいろいろと種類があって、うまく表現できないと、何が言いたいのかさっぱり分からないということもあります。どう表現するのが一番分かり易いかは、数学的なセンスも必要です。

 例えば、新型コロナの感染者数のニュースでも良く見ることのある棒グラフは、横軸が月日の時系列、縦軸が感染者数となっていますので、日ごとに増えたり減ったりがよく分かりますね。しかし、月の収入が10万円あって、そのうち、食費に5万円、光熱費に3万円、通信費に1万円、雑費に1万円使ったというようなことの比較で、どの経費を切り詰めないといけないのか。どの項目が全体のどのくらいの割合になっているのかを見たい場合は、棒グラフでは分かりにくいので、円グラフで表します。

 今回は、紙面も限られていますので、一般的な作表データを事例として「おすすめグラフ」の機能を使って、棒グラフや折れ線グラフの作り方を説明することで、グラフの一連の作り方を説明した後、多面活動記録データを元にした円グラフも作ってみましょう。

11.グラフの作り方
11.1.おすすめグラフ機能で棒グラフを作る

 おすすめグラフ機能で棒グラフを作るに当たっての、一連の流れを説明します。  図28-1をご覧ください。これは、第19回の「Excel(エクセル)は『何を作りたいか』が重要」の図19-5で使った表です。再度説明すると、縦の列には年次が並んでいて、横の行には月が並んでいて、その2つの項目に囲まれたセルに、売り上げというデータが入っている場合です。

 ダラダラと数値が並んでいるだけなので分かりにくいですが、ざっと見るだけでも、右端の合計額からは、年を追う毎に年間売り上げが上がっていることが分かりますね。また、月ごとに見ると1月~12月にかけて徐々に売り上げが上がっていることも分かります。こういう傾向をグラフで表してみることにします。

 図28-2のように、グラフにしたい表の範囲であるセルB4~N15までを選択します。選択の方法は、いつも通りで、B4のセルで左クリックしたN15までスライドするとグレーに色が変わりますので、N15で左クリックを外します。この時、これまでと少し違うのは、単なる数値だけではなく、縦の項目である「年」と横の項目である「月」もすべて含んで囲んでください。これらが、グラフを作成した時の横縦の名前や凡例になります。  次に、Excelの「挿入」リボンにある「グラフ」の項目の右端の「おすすめグラフ」を選択してください。

 図28-3の左図のような「グラフの挿入」のウインドウが表示されます。いくつかのグラフが例として表示されますので、どれが良いかを選択してください。ここでは、一番上の集合縦棒で、横軸に「月」で、凡例は「年」を選択しました。月毎の売上高が棒で示され、年次の違いは、棒が色分けされています。このグラフでは、1月から12月にかけて徐々に棒の高さが高くなり、12月に最も売上高が大きいことがわかりますが、年次の違いについては、月毎には2000年から2009年に向けて徐々に棒の全体の高さが高くなっていますが、同じ月の年次の違いは分かりにくいです。そこで、図28-3の右上図のように、同じ集合縦棒で、横軸に「年」で、凡例を「月」としてみました。今度は、同年の月毎の違いは分かりにくくなりました。何を知りたいかで一番良いと思うグラフを選択してください。右下図は、積み上げ縦棒で、これは年度毎に売上高が高くなっていることが一目瞭然となります。

 左図下の「OK」を最後にクリックすると、図28-4のグラフがExcelのシート内に表示されます。この図はシート内の何処にでも移動できます。

11.2.おすすめグラフの変更の原則と大まかな変更

 さて、セロはじ初心者は、少々思った通りのグラフとは異なるものであったとしても、これでとりあえず満足することにしましょう。修正したいところはいくらでもあります。例えば、このグラフでは、縦軸が0から20000円の目盛りで、140000円までありますが、こんな細かくは必要ないので、50000円目盛りで最大は150000円にしたいとか、「グラフのタイトル」に「2000年以降の月別売上高」と表示したいとか、縦軸と横軸に太い線を引きたいとは思います。こんな場合には、おすすめのグラフをベースに、グラフのデザインを少しずつ変えていくことができます。

 但し、結構面倒な作業となりますので、この講座では、上記した例を中心に、どんな風に変更していくのかの流れだけ説明しますが、細かい作業はいろいろと今後自分で試しながら学んでください。ここでは「変更の原則」だけを覚えておいてください。

 選択したおすすめのグラフはそのままで、グラフの要素、スタイルや色合いを大まかに変更したい時は、図28-4のグラフの右横の「+」、「筆」、「ロート」マークを使います。「+」はグラフの要素、「筆」はグラフスタイル、「ロート」はグラフフィルタになります。

 それぞれの変更の例は図28-5となります。グラフの要素「+」で、「軸」のチェックを外すと、右上のグラフとなり、縦横軸が無くなりましたね。また、グラフスタイル「筆」で、縦に並ぶいくつかのグラフから一つ選択してみると、グラフの背景が表示されました。このように、「+」、「筆」、「ロート」マークから選択していくと、おおまかな変更が可能です。

 そして、もっと大きく変更したり、細かい変更となると、グラフ内で変更したい箇所を右クリックしたり、左クリックしたりして変更していきます。次の11.3でもう少し詳しく説明しますが、ゼロはじ初心者は飛ばして、11.4に進んでも構いません。

11.3.おすすめグラフからの細かい変更

 11.2の大まかな変更で説明を終わりたいのですが、細かい変更について、ちょっとは知りたいと思われる方もいらっしゃるでしょう。そこで、触りの部分だけを紹介しておきます。

 グラフ内で、グラフタイトルの上にカーソルを合わせ左クリックすると、図28-6の左図のように「グラフタイトル」が枠で囲まれます。次に、囲った枠内の「グ」の文字の前にカーソルを置いて左クリックすると、文字が入力できるようになりますので、「グラフタイトル」を削除し「2000年以降の月別売上高」と入力します。タイトルを表示するだけでグラフが引き締まりますね。

 同様に、図28-7の左上図では、「縦軸の数値」の上にカーソルを合わせ左クリックすると、縦軸全体が囲まれます。次に、囲った枠内にカーソルを置いて左ダブルクリックすると、右図のようにグラフの横に「軸の書式設定」という機能選択メニューが表示されますので、軸のオプションとして、左端の「グラフ」マークをクリックして、境界値の最大値を「150000」と単位の主を「50000」に変更します。左下図のように軸の数値が変わりました。このようにして、微細な調整をしていき、自分の思ったグラフに変えていきます。

11.4.グラフの種類を選択する

 さて、最後に、多面的機能の報告様式1-7を使って、棒グラフ以外のグラフを作ってみます。図28-8の左図のように、様式1-7のExcelでは、赤枠のE33~E38に支出の合計が算出されるようになっています。そこで、この値を円グラフにして、日当や外注費などのそれぞれの項目が全体のどれくらいの割合かを示してみます。

 まず、グラフにしたい箇所として、4.日当~次年度への持越(残高)とそれに対応する数値として、支出の部分を囲みます。図28-8の右上図となります。なお、2か所に分かれる場所の選択は第22回の4.2.1.セルの結合で学びましたので見直してください。

 この状態で、図28-9のように、「メニュー」から「挿入」を選択し、更にグラフの機能で「円グラフ」を選択します。すると、円グラフの中でもいくつかの種類のグラフが示されますので、一般的な円グラフを選択します。(後で、他のグラフも試してみてください。様々なスタイルが選択できます。)

 すると、中段の左図が表示されますが、よく見てみると、凡例はあるのに、グラフは表示されていません。これは少し特殊な例です。図28-8の右下図の欄外で説明していますように、様式1-7では、日当などの金銭出納の項目のところで、B、C列の2列が使われていますので、知らない内にグラフの範囲を3列分選択してしまっています。しかし、円グラフは1列目に項目、2列目に数値として表示されますので、2列目にデータが無いのです。だからグラフを表示しないのです。

 そこで、11.2に則って大まかな調整をしてみます。図28-9の中段の左図にあるように、変更したいグラフの部分を左クリックで選択し、「ロート」マークで、C列が系列1となっているので、E列の「系列2」にチェックを入れ変えて、「適用」をクリックすると、左下図の円グラフが出来上がります。微細な変更をして、右下図として完成とします。

 以上、グラフのかんたんな作り方を説明しました。難しかったですよね。ゼロはじ初心者の方は、とりあえずテキスト通り一度やってみた後で、書かれていないところも含めていろいろと試してみましょう。おかしくなった時は、作られたグラフ全体を選択して、キーボードの「delete」ボタンを押してください。削除されますので、最初からやり直してみましょう。

 長きに渡りExcelの説明をしてきましたが、Excelは奥が深く、まだまだ伝えられていないことが多いです。これを全部伝えるには紙面がいくらあっても足りませんので、ゼロはじ初心者対象には、とりあえずここで締めくくりたいと思います。ご苦労様でした。

※二十九番札所は京都府舞鶴市にある青葉山松尾寺です。私の最初の農村づくりのお手伝いが舞鶴市の与保呂集落でして、住民参加のワークショップを開くのに5年間で10回以上通いました。その折にちょっと足を伸ばして、何度かお参りさせていただいたと思うのですが、ご本尊様にはたいへん申し訳ありませんが、御開帳でのお姿を拝んだこともなく、お寺自体もあまり記憶に残っていないのです。また、小学校の時は、夏休みで海水浴や林間学校と言うと、舞鶴が多かったので、その頃も何回かお参りしているはずなのに、その頃は巡礼という言葉も知らないで、興味も無かったのでしょう。ほとんど覚えていません。写真は、父が平成17年4月に巡礼で訪れた時の本堂の写真です。

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