家康公のお膝元で研修会

 去る12月22日、静岡県農地局農地保全課が開催した多面的機能支払交付金実務者研修会に講師で呼ばれて、年の瀬の慌ただしい中、静岡県庁に赴きました。静岡県庁は駿府城のお堀端にあり、南側に城下町が開けています。今年のNHK大河ドラマ『どうする家康』のゆかりの地であります。

 一昨年の2月の研修会でも行く予定だったのですが、その時はコロナ禍に阻まれ、最終的にはテレビ会議での講習会になりました。人の顔を見ての講義は久しぶりです。

 最初に農地保全課からの多面事業全般に関する講義があった後、土地改良区からの事務実務に関する報告がありました。何と言っても、今回はこの報告が素晴らしかったです。土地改良区の女性の職員の方に、多面事務委託を受けている中で、現場で苦労している状況を事細かく、現場とのやり取りまでもリアルに劇のような演出までかけてお話頂きました。「誰が文句を言ってきた」だ、「どう言い返した」だ、「上司がどう割って入ってくれた」だ、最終的に何がそれを丸く収めることになったかと、道徳のような指摘も交えながらお話されました。とにかく分かり易い。私は実務者ではありませんが、多面実務の推進に当たって大切なところをすべて話してくれている感じがしました。そして、委託を受けるに当たって組織との運営のルールづくりをしっかりとやって、合意形成を図ってから推進しているところに感心しました。

 その後、私が、「ICTを活用した多面事務楽ちん多面の紹介」と題してお話と実演をした訳なのですが、この土地改良区の報告に圧倒されて、話し難いのなんの困ってしまいました。それほど、土地改良区さんのご報告は素晴らしいものでした。

 また私の後も、新規組織化に関する状況報告が市や土地改良区さんからありました。事務委託の課題から、ICT化による事務負担軽減、新たな開拓、普及拡大と話題豊富な研修プログラムでありました。

 集まったのは、県事務所職員、市職員、土地改良区職員の40名ほどの皆様でしたが、多面事業の良さを広く県民に伝えて行こうと一所懸命なところに感動します。私も知らなかったのですが、静岡県は多面後進県なのだそうで、カバー率が全国ワースト3位だということです。事業がなくなる訳ではないのだから、「伸びしろ」だらけ、これからだということではないかとも思いますが、みんなが一丸となって普及に向かっていたのが印象的でした。

 さて、私の方のお話と言えば、楽ちん多面の紹介もさることながら、時間的な制約もあるので、操作上一番特徴的で重要なところだけの説明にして、クラウド利用の可能性についてだいぶ時間を割かせて頂きました。まぁ、「楽ちん多面」は、使い込めばその機能の充実さは分かっていただけるので、今回はそれよりも、スマートフォンとの連携なども含めたGoogleドライブの使い方を説明させていただきました。というのも、広域事務局や多面事務の委託が増えてくると、末端の活動組織からどうやってうまく活動情報を正確に仕入れるかが大切になってきます。また、活動組織が過保護になり過ぎて事務が他人事になり過ぎても、今後のコミュニティ力の低下につながるので、うまくICTを導入することが肝要です。活動組織の自立性を保ちながら、適正な事務委託を進めるためのICTとしてクラウドによる情報共有は将来的に欠かせない方向となるのではないかと考えています。そのあたりのお話をさせて頂きました。

 顔を見ながらの研修は久しぶりでしたので、少々緊張いたしましたが、前日入りして、通信環境の確認もしていましたので、広域事務局や事務委託先と見立てたパソコンと活動組織のパソコンとをクラウドでつなぎ、活動組織から楽ちん多面のデータを入力したらリアルタイムに事務局の楽ちん多面のデータも書き換わるところや、活動現場を想定して、私の買い替えたばかりのiphone15proの楽ちん多面モバイルから写真やデータを送ると、すぐに事務局や活動組織のパソコンにデータが届くところの実演も滞りなく終わり、なんとか私の出番も無事終わることが出来ました。肩を骨折してからここ一年、あまり重いものを背負って歩いたことがなかったのですが、ノートパソコン2台と重い充電アダプターをつくばから背負って行った甲斐がありました。17時ぴったりに終了し、県庁の外に出てみますと、もうすっかり日は暮れて、街は年の瀬のイルミネーションに染まり、どの通りもたいへんきらびやかです。

 大河ドラマ「どうする家康」は終わってしまいましたが、徳川家康公は人質としての幼年期と大御所時代に住んでおられ、亡くなったのもこの駿府城であるらしいのですが、先日のドラマでは、真田幸村が家康のいる茶臼山本陣に攻め込んだところでなんだか「ほぁ~ん」とさせて終わって家康の死の真相を謎にしたまま、駿府城の寝所で死んだように眠る家康のシーンとなりました。戦いに疲れながらも、太平の世に向けて邁進した徳川家康公はこの現代の城下の賑わいを如何に見つめたでしょうか。そして、イスラエルやウクライナの世界の現状をどう感じるのでしょうか。ふとそんなことを考えながら、帰途に着きました。とても良い研修でありました。 さて、今年も残すところあと1週間ほどで令和5年が終了いたします。今年は「言わせてもらえば」は45話書かせて頂きました。取るに足らない話の寄せ集めですが、農村づくり考を中心に自分なりに社会について感じ入るところを徒然なるままに書かせて頂いています。後半になって、前立腺がんの再燃(再発)が発覚し、ちょっとしょげましたが、まだまだ元気です。薬を変え、食生活を気にしながら、生活スタイルも変え、なんでもやって、行けるところまで行きたいと思います。読者の皆様並びに研究会会員の皆様、今年もたいへんお世話になりました。来年度もよろしくお願い申し上げます。

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