共助を見える化する「地区防災計画」

 昨日3月11日、東日本大震災の発生から8年となりました。故郷を離れて避難生活を続けられている方はいまだ約5千人にも及び、ニュースなどで復興地域の様子が報道されると、インフラによる復興はそれなりに進んだものの、まだまだ問題は山積し、不安を取り除き、心の痛みが癒えるには更なる時間がかかると認識します。

 改めて、熊本地方地震や頻繁に発生する大水害を含めて、災害で亡くなられた多くの方々のご冥福を祈るとともに、被災された皆様におかれましては、謹んでお見舞い申し上げます。

 現役時代、東日本大震災の時は、岩手県下の特定の被災地域ではありましたが、地域住民と向き合い、技術者の立場として、仲間の技術者や行政職員と共に、住民参加の復興計画づくりのための寄り添い支援をさせていただきました。しかし、どれだけの支援になったことか、今になって振り返ると心許ない。また当時、被害の大きさに絶句し、何もできず、あれほど自分の技術者としての未熟さを感じたこともありませんでした。それでも、被災地域の皆さんからは、支援に対して、いくらかでもお礼の言葉を頂いたことは恐れ多く、さらに精進し、お役に立てるようにならねばと思う次第であります。

 さて、今日は地区防災計画というものについて紹介し、一考したい。 

 平成30年版防災白書を見ると、住民主体の取組において、「地区防災計画制度の普及・啓発について」という項目があるのですが、皆さんは、この「地区防災計画制度」という制度はご存知でしょうか。また、自分の地区はこれを定めていると知っている方はおられますでしょうか。自治体の定める地域防災計画ではありませんよ。

 この制度は、災害時に、自分の身は自分で助ける「自助」や、近所の人等と助け合う「共助」による取組が「公助」と連携して有効に機能するためには、平常時から住民が居住地域の地域特性やリスクを把握し、近隣の人々との信頼関係を構築しておくことが重要であるということが、阪神大震災以降明らかになってきて、住民の自発的な活動を促すため、内閣府が災害対策基本法を改正して、平成26年4月より施行したものです。

 これによって、地区居住者等が、地区防災計画(素案)を作成し、市町村地域防災計画に地区防災計画を定めるよう、市町村防災会議に提案できることとなりました。

 私自身も、定量的には評価できていませんが、これまでの農村づくりに携わった経験から、地域コミュニティがしっかりしている地域の方が災害時の扶助も素早いし、復興のスピードも速いのではないかと思ったことはあります。この制度では、まさに、住民のコミュニティ力、ちょっとニュアンスは違いますが、相互扶助の結束力ということでも良いと思いますが、こういう力を活用した活動がいつでもできるように「計画」に「共助」をしっかりと位置付けて、具現化しようというものです。

 私は、この制度を初めて知った時、いよいよ国民総防災意識改革の時代が到来した。住民参加の農村づくりの根幹となる制度ではないか、「すばらしい」と心躍りました。しかし、今年、防災白書を読む限りでは、内閣府による「モデル事業」の実施地区は平成30年3月31日現在で44地区、そのうち約6割の27地区が地区防災計画(素案)を策定し、更にそのうち16地区が市町村地域防災計画を修正して、地区防災計画として反映されるまでに至った程度で、市町村地域防災計画に定められた全国における地区防災計画については、平成29年4月1日現在で984に留まり、徐々に浸透してきているとは思いますが、この数字、まだまだこんなものかという感じでもあります。また、この数字は集落単位の末端までの計画の浸透を表すものではないと思います。よって、内閣府も促進の手を強めて、地区防災計画フォーラムの開催などを通して、様々な事例を紹介し、その必要性を説いているようです。

 地域密着型の防災計画をつくるためには、先ずは、地域住民が、目標や課題を共有すること、そのためには、地域の実情をしっかりと読み解くこと、更にそのためには、体制と環境の構築、専門家などとの連携による知恵の伝承、人材の育成を進めることであります。

 この内容は、地域の活性化のための活動、多面的機能維持のための地域活動となんら変わらないではありませんか。

 地区防災計画の策定に向けて、国は地区防災計画ガイドラインをネットで公開しています。農村づくりは、農業や農村環境の計画だけでは成り立ちません。まさに、こういった防災計画をどう立てるかも重要なことです。

 日本人の脳は如何せん縦割りになっており、様々な事象を横に連結していく機能が劣っているように思います。農村づくりを考えるなら、農業という産業の場の在り方だけでなく、環境、防災、教育、福祉に様々繋げて計画を策定していくことが重要でしょう。

 一度、地区防災計画ガイドラインもよく読んで勉強したいと思います。必ず、農村づくりの参考になると思います。

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