農村に夢を描こう

新年あけましておめでとうございます

 本研究会の会員の皆様、農村づくりに携わる全国の皆様並びにホームページの読者の皆様には、旧年中、一方ならぬご厚情を賜り、誠にありがとうございました。

 本年も、皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げますとともに、農村づくりや多面活動の運営に向けて、研究会として皆様のお役に立てるようがんばって参る所存でありますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 毎年、初夢に一富士二鷹三茄子を期待しているのですが、未だかつて、どれ一つ見たことがありません。新年早々、変なことを言いだしますが、実は、私は日頃から夢をほとんど見ないのです。若い時から夢を見る回数が極端に少ないというか、夢をほとんど覚えていないというのかよく分かりませんが、悪夢に魘されることもない代わりに、一富士二鷹三茄子も、初夢どころか、今まで一度も夢の中でお目にかかったことがないのです。

 小学生の時に一度、富士山の夢を見たいと思い、枕の下に富士山の絵を置いて寝たこともありましたが、毎日ぐっすりと眠り、数日たっても夢は見られず、母に「あんたはホンマに夢のない子やなぁ」と茶化されたこともありました。

 睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠というものがあるそうで、レム睡眠というのは、大脳が活発に動き、眼球がピクピクと瞼の下で動いている状態で、ノンレム睡眠は大脳が休息している状態だそうです。専門家によると、一般的に、睡眠中はレムとノンレムの状態が繰り返されるらしく、夢は浅い眠りであるレム睡眠中でも、深い眠りにあるノンレム睡眠中でも見るらしいのですが、朝方、起きる前はレム睡眠の状態なので、その時に見た夢をよく覚えているのだそうです。

 ということは、私はノンレム睡眠が長いということなのでしょうか。最近の研究では、レム睡眠中の夢は、浅いぼやけた夢が多いそうで、ストーリー性のある夢を見るのはレム睡眠中だそうですが、私の場合は、夢がストーリーになっていたことがありません。

 さて、皆さんは、今年の初夢はもう見ましたか。良い夢を見ることはできましたか。夢というのはネガティブな感情が強く出ると言われているので、コロナ禍の不安な世の中では、嫌な夢になることが多いのかもしれませんが、皆様が新年の良い目覚めをされたことを期待いたします。

 夢そのものは大脳が活発に動くことによって創られるものですので、大脳に情報が詰まっていないとストーリー性のある夢は見られないのかもしれません。そうです。大脳が働かなければ、夢が見られないのと同じで、現実の夢も、大脳が動かないと見ることはできません。

 全国各地の農村づくりに三十数年間、関わってきた中で、「30年前と今とで何が最も異なっているのか」と聞かれると、私は空かさず、『今は、農村に将来の夢が描けない人が多い』と答えます。30年前、農村に入り、地域のリーダー達に、「これから、この地域をどんな農村にしていきたいですか」とお聞きすると、「僕はもっと文化を大切にする農村がいいと思う。先ずは鎮守さんの祭を復活したいんだ」とか、「豊かな自然をもっと子供たちに楽しんでもらいたい」とか、「ため池にブラックバスが繁殖して困っているんで、駆除したい」とか、「皆なかなか腰が重くて困っとるが、うちの集落も来年は活性化のための協議会を立ち上げたい」と、夢というほどのことではないのかもしれないが、やりたいこと、地域への想いが次々と飛び出したものです。それが、最近はどうも、あきらめ感が強い。「何やっても、たいしたことにはならないからやらない」、「こんな何にもないところが、活性化する訳がない」、「うちの集落は限界集落ちゅう奴やな」と、ため息がでることが多い。

 どうせ「絵に描いた餅は食えないから」と、夢の絵を描くまでに至らない。

 このホームページの会員さんや、読者の皆さんは、意識して農村づくりを進めていて、地域の夢を持たれているでしょうから、釈迦に説法なのかもしれません。読者より、寧ろ読者ではない方に言わないと伝わらないのかもしれませんが、令和三年の初日の出に向かい、私は声を大にして言わせていただきます。

『農村に夢を描こう』と。

 うまく行かないのは、また、諦めてしまっているのは、未だ、自分たちの本当の魅力、自分たちの生活の豊かさを発見できずにいて、脳に皆さんが住んでいる地域の情報が溜まっていないだけなのです。「もう出し尽くして、うちはいろんなことをやり切った。それでもだめだった」そう言いたい方もいると思いますが、絶対に違います。やり切ってしまうような薄っぺらな農村なんて日本のどこにもありません。

 夢は知識でできています。知識が豊かにあるのなら、今度は大脳の働きが大切です。大脳の働き、すなわちニューロン(脳神経細胞)のスパーク(電気信号)を多くすることが重要です。それは、農村づくりで言うと、人の交流を表しています。

 夢が描けなくなることはありません。時代は動いているのですから。昨日の夢が達成したら、必ず明日の夢が沸き上がるものです。もし、地域の夢が描けないなら、もう一度、自分たちの地域を見つめ直して、知識をため込んでみてほしい。そして、その知識を人の交流でスパークさせてほしい。

 「さぁ、ポストコロナの時代で、新しい農村づくりに、当研究会と一緒に夢を描いていきましょう」当研究会は皆様の『住民の住民による住民のための農村づくり』を、今年も精一杯ご支援できるようがんばります。

 ところで、私が夢を見ないのは、やはり知識が少ないのでしょうか。それとも、脳に支障があるのでしょうか。ちょっと心配になってきました・・・

※文頭写真:令和3年正月・筑波山を望む 

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