家族の有難味

 主治医の先生にはあれだけ強く、転倒には気を付けるように言われていましたのに、とうとうやってしまいました。8月21日、フェス「サマーソニック2022」で、千葉県の幕張メッセまで行った帰りに、道路の段差に躓き、右肩を強打して、複雑骨折です。

 私は前立腺癌のホルモン治療をしていますが、「ホルモン治療は骨粗しょう症のリスクが伴うので、転倒したりしないように、日頃から気を付けて歩け」と言われていました。段差のせいでもありますが、疲れている上に、ちょっと興奮気味というのもあったのでしょう。更に「年齢」というのも付け加わって、手も付かず、なんの抵抗もなく、そのまま右肩から着地しました。さっそく病院へ行って、CTやらレントゲンやらを撮ると、右上腕骨上部が4つに分解していて、骨粗しょうもあってか、軟骨部分も見つからない状態になっていたのです。今まで生きて来た中で最高の痛さでした。

 直ぐに入院して手術となりましたが、その後は順調に回復し、9月4日に無事退院できました。その間、研究会の方は、お知らせしたとおり、3週間程度休ませていただきました。あの「お知らせ」を書いていた時はまだ手術前で、超絶の痛みを堪えながら、バカな左手で、息を止めて一文字打っては、「はぁー」と息を吐いてという具合でした。とにかく、読者、会員の皆様にはご迷惑おかけしました。申し訳ありませんでした。

 退院後の経過も良く、おかげさまで徐々に回復してきてはいますが、まだリハビリは始まったばかりで、右手は思うようには使えません。ただ、不思議なことにほとんど使えなかったバカな左手と左指は以前よりもスムーズに動き、右手のようにはいきませんが、そろそろ投稿を再開しようかと、この文章を書いているところです。

 日頃は意識していませんが、怪我をしたり、病気になると、妻や子供たちが傍にいてくれることがこんなに有難いことなのかと、改めて気が付きます。入院中はコロナ禍と言うこともあって、外部との接触は一切できないので、看護師に任せっきりですが、家に戻ると、移動から、食事、着替え、シャワーまで、何も一人でできないので、何から何まで家族にお世話になります。妻も仕事があるので、特にリハビリの送迎は息子が買って出てくれる。「今からもう介護かよ」と文句を言われるが、仕事の合間を縫ってよくやってくれている。私がやった父の介護よりもきめ細かく、手厚い。感謝感謝だ。

 何もすることがないので、朝から晩までテレビを見ていると、こんなニュースがありました。国立社会保障・人口問題研究所が行った「結婚と出産に関する全国調査」によれば、結婚の意思を18歳~34歳までの独身の男女に聞いたところ、「一生結婚するつもりはない」と答えた男性は17.3%、女性は14.6%で過去最高となったということです。コロナ禍での出会いの減少も影響しているとは言うが、前回の2015年では男性12.0%、女性8.0%だったので、男女とも5ポイント以上急増していることになる。

 一人は気ままで良い。相手に気を遣うこともなく、自分のお金を自由に自分のことに使えるし、自由な時間もたっぷりある。結婚して子供が出来たりすると、確かに気ままにとはいかない。これからの時代、もしかしたらお一人様であっても、お金を出せば、一時だけの介護・介抱サービスを受けられるようになったり、すでにそういうものはあるようだが、生活を支える保険も充実するし、デリバリーでなんでも生活用品はその日の内にも届くので、家族はいなくてもなんとかなるのかもしれない。でも、おそらくリスク対応の代価は、伴侶を持ち、子供を育てるよりも高くなるように思う。家族愛の扶助価値はそれだけ高いのだ。扶助を充てにして家族を持つものではないが、家族という単位には、やっぱり互いの弱さを補う機能があって、必ずしも男と女である必要はないが、最も小さなコミュニティとしての家族と言う単位は大変重要な単位ではないかと思う。そして、災害対応ともなれば、家族集団の集まりとしての集落も重要になってくる。少なくとも二世代同居または近隣居住の家族の単位は、集落と言う相互扶助機能を成り立たせるためにもしっかりしないといけない。『農村づくりの基礎は家族生活にあり』だ。

 「一生結婚するつもりはない」と答える若者たちも、いつか気は変わるかもしれないが、できれば、「社会と言うのは自分一人で生きていける世界では無いのではないだろうか」と考えてもらいたいものだ。家族、家族と強調するからと言って、最近世間を騒がしている平和家庭なんたらとも何の関係も無いし、極端な保守思想でもなく、神の導きには関係なく、只々、支え合う最小単位は『家族』だと言う当たり前のことを言いたいだけです。

※アイキャッチの写真はフェスの一ステージの様子。当日は野外も含め5ステージを行き来する。

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