本物のワークショップを

 5月25日をもって、10回に渡って連載してきた講座「ワークショップをしよう」が完結しました。昨年の2月12日に初回を書いてから1年3か月もかかったことになります。最初の段階では、7回程度の予定で、大方の原稿もできていたのですが、あれも伝えないといけない、これも載せておかないといけないと試行錯誤している内、回数も増えてしまいました。特に、ICTを活用したワークショップについては、あまりにも技術的なハードルが高すぎて、ワークショップでは、もっと単純に、地域の環境をよく知り、問題点に気づけば、先ずはそれで良いのではと考えていらっしゃる地域づくりのリーダーや支援者の中は、怪訝に思われた方もいることでしょう。また、読破していただいた会員の皆様も、ICTに関係する最後の3回は、「私のところの地域は、これは関係ないかな」と思われた方もいるかも知れません。

 事例としても少なく、まだまだこれからのツールである上、なんとか要点だけを短くまとめようとした私自身の伝え方にも少し無理があったのかもしれませんが、私としては、こういうICTを活用した展開方法もこれからの農村づくりには必要であることを言いたかったのです。そういう意味では、ひと区切りとしては、ここまで掲載できてよかったのではないかと思っています。辛抱して読破していただいたみなさんには大変感謝いたします。再度、地域資源管理のICT活用については特集を組んでみたいと思いますので、興味のある方は、その時までお待ちください。

 さて、会員ではない皆様にとっては、会員限定ページのことなので、なんのことやらわからないと思いますので、私がこの講座を通して何を伝えたかったかを、以下説明していきたいと思います。

 最初に私は以下のことを述べました。それは、「住民の住民による住民のための農村づくり」には集落環境点検ワークショップが効果的であるが、ワークショップは地域計画策定のための支援ツールというよりは、気づきのツールであって、これを通して住民が「自然知」、「伝承知」、「身体知」の三つの暮らしの知を鍛え、住民どうしで、地域社会、土地環境についての共有認知をすることが何よりも大切だと。

 私は、この講座の中で、ガス抜きみたいなワークショップになるのだったら、やらない方がましだとも述べています。そして、現代社会は、自然を読み解く力である「自然知」、先祖代々と伝えられる伝承や新たな知見を受ける「伝承知」、自分自身の能力と、その地域での役割を自覚する「身体知」が亡くなりつつあり、それによって意識できる相互扶助の精神も薄れてきていることを指摘し、それらを取り戻し、鍛えるワークショップを農村づくりへ積極的に活用することを強く訴えました。どうすれば活性化するかと考えてはいけない。自分たちの地域に何があって、今どうなっていて、それについてみんなはどう思っているのかという、基本的な認知共有ができれば、活性化は自然に興ってくるものであると説いたつもりです。

 新型コロナウィルス問題の出口で、経済優先か命優先かと議論していますが、私は、その議論はとてもナンセンスに思えます。おまんまが食えないと命は救えないが、命がなければおまんまは食えないのであって、どちらが優先という論議は無く、命を守るためのバランスは、何によって決定づけられるのかという問題ではないのだろうか。

 それは、コロナウィルスに対する知識、いわゆるコロナウィルスがいる環境をどう読み解くかという「自然知」を持ち、過去のウィルスとの戦いの中で人はどう対処してきたのか、また様々な国や地域が現在どう対処しているのかという「伝承知」を得て、そして、自分はどう動きべきか、社会での役割として何をすべきか、扶助参画はどうあるべきかという「身体知」が持てれば、命を守るバランスは、国ごとに、地域毎に、人毎に、社会毎に見えてくるものである。結局は暮らしの知を鍛えられるか否かが命に関係してくるのである。

 農村づくりも、災害対策も、コロナ対策も、それぞれ違った次元の話のように思うが、結局は、一人一人が暮らしの知を鍛え、その共有認知が進めば、自ずと問題は解決するものである。

 経済活動はコロナ感染第二波の恐怖を含みながら徐々に開けてきているようだが、大事なのは、ガイドラインを守ることやルールを守ることそのものより、知を以って、その意味合いをしっかりと脳に植え付けることであるだろう。

 まだ、本格的なワークショップを一度もやったことのない地区で、今後、本物のワークショップを目論んでいらっしゃるなら、是非、暮らしの知を鍛えるワークショップに挑戦してみてほしい。わからないことがあれば、是非、研究会にご連絡いただければと思います。

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