空中菜園は自足への手掛かりか

 ちょっと前になるが、日曜夜8時日本テレビで放送されている鉄腕ダッシュを見ていたら、ビルの屋上でペットボトルを使って亀戸大根を作っていた。ペットボトルの底を切って、飲み口を下にして、土や肥料を入れて、種を蒔いただけのものを、太陽に向けて吊り下げておくだけだが、しっかりと大根が育っていた。ペットボトルの植物栽培はよくあるが、空中菜園ってのはなかなか面白い。

 鉄腕ダッシュという番組は多くの方がご存知であろう。今は解散してしまったが、ジャニーズの「TOKIO(トキオ)」のメンバーが、農業や農村生活を体現したり、東京湾岸の自然再生をしたり、無人島開拓に挑む、ドキュメンタリーでエンターテイメントな番組です。様々な体を張った企画にも挑戦していて、超巨大雪だるまや巨大空気砲を作るなんていうおバカな企画もあるが、どの企画もそれなりに地域の活性化に貢献するものが多く、私は、録画をしてどれも見逃さずに見ています。しかし、何と言っても、最近のメイン企画は、無人島開拓の「ダッシュ島」と都会のビルの屋上をビオトープに変える「新宿ダッシュ」ではないだろうか。

 特に私は、生き物大好きのキング&プリンス(これもジャニーズのグループ)の岸優太くんが、天然ぼけをぶちかましながら、TOKIOの国分太一くんに一生懸命ついて行っている様が好きです。あの若い素直さに惚れます。ここでは、小さなビルの屋上に、風力による雨水の浄化システムやメダカやカマキリが住むビオトープが作られていて、周りにはイチゴや野菜の菜園、キノコ栽培用の保温部屋のマッシュルーム(ルームは「部屋」とかかっているのだろう)まで作られている。

 岸くんは、分葱を知らないらしく、「ワキゲ」と言うし、春の七草もゴギョウを「奉行」と覚えてしまったりと、笑い満載なのだが、野菜づくりや環境づくり自体はどれも地道で真剣で、「自足」への道をしっかりと歩んでいる。

 コロナ危機があって、大きな地震があって、更に今度はウクライナ危機、石油も値上げ、小麦粉も値上げ、こういう時いつも、「今や37%にまで落ち込んだ日本の食料自給率、11%しかないエネルギー自給率ってどうなのよ」と考え込んでしまう。食べ物も石油も天然ガスも輸入がストップしたら、日本人、明日死ぬよなと悲しくなってくる。

 新宿ダッシュじゃないけれど、「猫の額みたいなバルコニーに洗濯物なんか干さずに、何か食べるものでも作っておかないと」と思う。まぁ、野菜は比較的国内自給率が高い作目が多いので、急に買えなくなったりはしないだろうが、そういう問題ではなく、「自給自足」の精神を持っておくことが重要なのではないだろうか。

 野菜は生産額ベースの自給率を支える重要な品目となっていて、令和2(2020)年3月に定められた食料・農業・農村基本計画でも、野菜の自給率向上に向けて、需要が拡大する加工・業務用野菜について輸入品から国産品への置き換えを目指すこととしている。これは日本全体の食料自給率の問題ではあるが、戦中戦後少しでも空いた土地があったら芋や大根を作っていたみたいに、いつでも腹の足しになるものが傍にあるという考えを持ちながら、また一方で、自分で作って食べるという自足の精神を満たす取組みが大事だ。

 スマート農業の推進による省力安定単収アップ、食品ロスの軽減、耕作放棄地削減で農地フル活用、コメのフル活用と日本型食生活への回帰、地産地消の推進、食農教育の向上で自給率を政策的に向上させるのも大事だが、私がもう一つ考えるのは、食農教育+地産地消+自給自足を踏まえた戦略『一人一産』ってどうだろうか。自給自足は簡単にはいかない。時間もかかれば能力もいる。『一人一産』のためには、私のようなモノづくりが下手で、何を作ってもうまくいかない人にでもそれなりの収穫ができるやり方や装置を教えてほしいものだ。

 日本人の約半数は家庭菜園経験者であると言う統計もあるので、気象条件も呑み込んで、省力的に安定した生産が誰にでもできるという技術や装置ができれば、日本全4800万世帯がベランダ3平方メートルでペットボトル大根や人参を作れば、計1.4万ヘクタールで自足生産が可能となる。耕作放棄地面積は28万haもあるので、自給率向上という観点からは焼け石に水だが、農業経営として無理があり、農村として維持できないから放棄されている訳なので、解消には限界はある。それならば、「自給」もさることながら、「自足」を満たす取組に力を入れても良いかもしれない。働かざるものは食うべからず。金があればなんでも買えるというのではなく、土に触れ、水を流して、汗もかく、その先に生産物はあるという精神を身につけることは大切ではないだろうか。

 農林水産省と国土交通省が中心となり推進してきた生産緑地の税制措置も2022年に期間満了を迎え、農業を継続し農地として維持することが困難になると、いくらかの緩和策で、維持はされるものの、耕作放棄地と同様、条件不利な土地はやはり宅地化されるかもしれない。だから、趣味的市民農園としての生き残りではなく、全国民徴農的自足を考えないといけない。

 ペットボトルをベランダに吊るしておけば、家族3人、冬場に1ヵ月分の大根が食えればそれで良い。辛い大根でも良いじゃないか、大根メシで暮らす精神から学ぶべきことは多い。

 鉄腕ダッシュでは、ペットボトル空中菜園の大根だけではなく、ビルの屋上で育った他の野菜も入れて、「究極の朝飯づくり」に挑戦していた。各家庭でエンターテイメントな家庭菜園があっても良いと思いました。  あっ、そうそう、鉄腕ダッシュでは、農家や食品工場から捨てる食材を集めて0円でご馳走を作る「0円食堂」という企画もあるが、あれは、食材が集まらないとエンターテイメントにならず、放送もできないが、『SDGs』から言うなら、探し回っても食材を集められなかったというほどロスが削減されていれば、これが真の正解なのだろう。城島リーダーの削減されたロスの中のロスを見つける姿が見たいものだ。

※農家の屋敷と道路の間にはアイキャッチの写真のように土地があって、お墓があったり、その傍にちょっとした菜園などがあることがある。これが市民農園の始まりとも言われている。写真は個人のお家なので画像をスケッチタッチにしてみた。とにかく、土地の使い方が美しい。山形県の食べられる生垣「ウコギ」も自給自足の精神としてみごとだと思う。

おいしい山形ホームページ から

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